国民一人ひとりに、国是や国家目標を知らせることは重要です。全
勝つための思考と行動~東洋の英知「孫子の兵法」
その148 まるで一人の人間であるかのように、一丸となって動ける組織にするには…
軍隊を、まるで一人の人間であるかのように、一丸となって動ける
「戦上手な者は、譬(たと)えれば率然(そつぜん)のようなもの
その147 このままでは呉越同舟ではなく、呉越決戦へ向かうのみとなる?!
紀元前5世紀頃、呉と越は覇を競い合っていました。仇敵同士の呉
その146 部下たちは、注意しなくても用心し、要求しなくても力戦するようになる
孔子や老子、韓非子らは、いずれも人間通の思想家でした。喜怒哀楽に揺れ動く人間という存在を、的確に掴んでいる者を人間通と呼びます。孫子も人間通として、人間心理をよく捉えていたことが分かります。
人間は弱い存在であり、誰だって死にたくありません。人間心理として、死を恐がるのは当然のことです。しかし、乱世に生まれた以上、戦いを避けて通れないのが宿命であり、武人は死を恐れぬ勇猛さを求められました。
その145 浅ければ心はドキドキ浮き立つ、もはや深く踏み込む以外に道は無い!
沢山の人があっけなく死に、
だからこそ孫子は、戦わないで勝つ方法を唱えました。
しかし、どうしても戦わなくてはならないときは、
その144 いかにして腹を括らせ、覚悟を据えさせるか…
戦争は常に死と隣り合わせだから、兵隊は誰もが開戦を恐がります。将軍は、そういう兵士らに腹を括らせねばなりません。もう戦う以外に無いと覚悟を据えさせたときに、兵士たちは豪傑ともなって奮戦するようになるのです。
《孫子・九地篇その三》
「敵国に進入するときの方法だが、深く攻め入るほど味方は戦いに専念し、敵は抵抗出来なくなる。(食糧は)敵の沃野(よくや)から調達すれば全軍の食は足りる。休養に努めて(兵士を)疲労させず、氣を合わせて力を積ませよ。軍を動かす際は謀計をめぐらし、相手に測られないようにせよ。
その143 最初に、一番強そうな奴を倒せ!
それから「ある者が質問」しました。「敵が整った大軍で、まさに攻めて来ようとしているときは、どのように対応すればいいのか」。これへの孫子の答は「まず敵の要(かなめ)を奪え。そうすれば、こちらに従うだろう」ということでした。
事前に相手に対する離間策を仕掛ける間も無いまま、逆に整った大軍となって攻めて来るときは、一体どうすればいいのかという問いです。孫子は明快に、「敵の要を奪う」ことに集中せよと回答しました。「敵の要」の原文は「その愛する所(其所愛)」で、要とは相手の最重要箇所のことです。
その142 組織の結束力が弱まる4つのポイント(関係)
軍隊の「結束力が弱まりそうなポイント」として、前軍と後軍、大部隊と小部隊、身分の高い者と低い者、上官と部下という4つの関係が示されました。これらは、いずれも互いに反発し合う関係にあります。
前軍と後軍は、企業なら本社と地方に置き換えられます。本社がお高くとまれば、地方の支店や工場は、本社に対して卑屈になります。そこが亀裂の元になるのです。
その141 組織というものは、放っておいたら必ず壊れるほうへ向かう…
組織というものは、放っておいたら必ず壊れるほうへ向かいます。元々、個々バラバラな人間が集まって集団を作っているのですから、努力しなければ崩れていくのは組織の性(さが)として当然のことです。
それは、軍隊という結束力の高い組織も同様です。孫子は組織の弱点、即ち「結束力が弱まりそうな点」を捉えながら敵軍を分離させ、勝運をこちらに導こうとしました。そこを衝けば、相手が一枚岩となってこちらに向かって来ることを避けられるという関係があるものです。
その140 死地では奮戦あるのみ!思い切って戦う以外に生き残る道は無い
七、「圮地(ひち)」
山林や険阻な要害、沼沢など、行軍が困難な地が圮地です。「圮」には破れる、崩れるという意味があります。軍を進め難い地ですから、圮地は速やかに通過せねばなりません。
圮地を現代に置き換えますと、身動きが取り難く、軽はずみに関わると足元を掬われかねない場や状況に相当します。政治活動ならば、根深い対立を抱えていて、新人には手に負えない地域などがそれに近いでしょう。正義感から不用意に関わると、その問題への取り組みで、人生の大半を費やすことになるかも知れません。その問第解決こそ我が天命なりと、真底確信しているならその限りではありませんが。