その140 死地では奮戦あるのみ!思い切って戦う以外に生き残る道は無い

七、「圮地(ひち)」
山林や険阻な要害、沼沢など、行軍が困難な地が圮地です。「圮」には破れる、崩れるという意味があります。軍を進め難い地ですから、圮地は速やかに通過せねばなりません。

圮地を現代に置き換えますと、身動きが取り難く、軽はずみに関わると足元を掬われかねない場や状況に相当します。政治活動ならば、根深い対立を抱えていて、新人には手に負えない地域などがそれに近いでしょう。正義感から不用意に関わると、その問題への取り組みで、人生の大半を費やすことになるかも知れません。その問第解決こそ我が天命なりと、真底確信しているならその限りではありませんが。

八、「囲地」
きちんとした道が無かったり、あっても曲がりくねったりしている所が「囲地」です。囲地では、限られた狭いルートに身を寄せつつ移動せねばならず、「由りつつ入って行くのに狭く、従いつつ帰っていくのに迂回せねば」なりません。

囲地とは、まさに囲まれた地域のことです。その進軍し辛い環境に、味方はすっかり囲まれてしまいます。あるいは、進路が分かり難いため、少数の敵に囲まれただけで味方の大軍が撃たれてしまうことにもなります。

囲地は奇策を使い易い所ですから、沢山の仕掛けが設けられている可能性もあります。しかし、囲地は敵にとっても囲地です。こちらも謀計を用いることによって、一転して主導権を握られるよう努めるべきです。

これも選挙に置き換えますと、新規参入が困難で新人をなかなか受け入れようとしないのに、本人が無理を覚って撤退しようとすると、既にしがらみが生じていて今度はなかなか去らせて貰えないといった地域になるでしょう。うっかり足を踏み入れると散々な目に遭い、二度と選挙はやりたくないと思わせてくれる土地が囲地です。

九、「死地」
覚悟して速やかに戦えば生き残り、そうでなければ亡んでしまうというのが死地です。死地は、まさに死すべき地のことで、そこでは奮戦あるのみです。一か八かで思い切って戦う以外に、もはや生き残る道はありません。

通常孫子は、先手で準備し、これなら勝てるという状況に至ってから戦うことを勧めます。そういう必勝の流儀から外れている、極限状態が死地なのです。

選挙戦であれば、安心な選挙などというものは本来あり得ないのですから、基本的に全部が死地に身を置くことになります。一人区なら尚更で、世の中の気分次第で吹く「風」などを当てにして戦うわけにはいきません。そもそも死地に身を置く覚悟が無ければ、途中ではじかれてしまい候補者にすら推されないでしょう。(続く)