以下の事柄を知っていれば、勝利は万全であると孫子は教えました。
これらは、現代においても変わらぬ原理原則であると言えましょう。
・こちらに、十分な実力があること。
・相手が、まだ準備不十分であること。
・地の利を、しっかり生かすこと。
・天の時を、よく掴むこと。
以下の事柄を知っていれば、勝利は万全であると孫子は教えました。
これらは、現代においても変わらぬ原理原則であると言えましょう。
・こちらに、十分な実力があること。
・相手が、まだ準備不十分であること。
・地の利を、しっかり生かすこと。
・天の時を、よく掴むこと。
それから、部下に注意するときの心得ですが、間違いに気付いて既に反省している場合と、事態をよく理解出来ないまま浮ついている場合とでは対応が異なります。
前者には、一通りの注意の後で、労いや励ましの言葉を添えると良いでしょう。落ち込んでいて、反省していることもハッキリしているのですから、むしろ慰めるべきです。
後者に対しては、間違いを覚らせるよう、きちんと叱らなければなりません。勿論ガミガミ言えば済むというものではありませんから、冷静に筋道を通して説明しながら、理でしっかり問題点を指摘する必要があります。
孫子・地形篇その四の、「兵士」を「部下」に置き換えてみれば次のようになるでしょう。
「部下を赤ちゃんのように大切にすれば、部下はその優しさに感激して、一緒になって困難を乗り越えてくれるだろう。部下を我が子のように慈しめば、部下は一緒になって会社の危機に立ち向かってくれるだろう。
だが、手厚くするばかりで一人前の社会人に育てられず、反発を恐れて指示や命令を出せず、組織が混乱してまとめることが出来ないようでは、まるで我が儘し放題に成長してしまった子供のようなもので全く役に立たない。」
思い遣りのある優しさと、怠けることを許さない厳しさ。前者が無いと部下たちは心から付いて来ないし、後者に欠けると部下たちは次第にだらけていきます。
両者のバランスを取ることは本当に大変です。優しさが単なる甘さとなり、厳しさが反感を買うだけパワハラと化し、一所懸命部下をまとめようとしているのに全然上手くいかないと。そのもどかしさに苦しみ、自己嫌悪に陥れば、逃げ出したい気持ちに追い込まれてしまいます。
こうして現地の判断が尊重されるべきなのですが、その際、現場の総指揮官に自問自答して欲しいことがあります。それは、個人の感情を判断に挟さまず、無私の心で人民と君主のために尽くすという覚悟の有無です。
人は有能であればあるほど、私利私欲で身を滅ぼし易くなります。ここで勝てるぞ!と思えば、名誉を獲得するチャンスの到来に気が逸(はや)ります。気が逸れば、心の重心が上がって全体が観えなくなります。視野が狭まれば、あっけなく敵が仕掛けた罠(わな)に填(はま)り、大敗を喫することになりかねません。
孫子は、繰り返し「地の利」の重要性を訴えます。戦う前が大事であり、如何にしてこちらが有利な土地を確保するか、そして相手を不利な状況へ追い込むかです。まさに、戦う前に勝敗は決まっております。
「敵の情勢を調べて」おくこと、即ち敵軍の力量を正確に把握し、常にその動きを掴んでおくことは極めて大切です。それと共に、「土地が険しいか易しい(平坦)か、遠いか近いか」を計測することが、総大将にして筆頭将軍たる「上級将軍」の必須の任務となります。
先にも述べましたが、何か熱い物に触れたとき、サッと手を離すのが脊髄反射です。知覚神経によって伝達される「熱い!」という信号を、いちいち脳が判断していたら酷い火傷を負いかねません。そういうときは、脊髄が即座に「手を離せ!」という決定を下し、緊急事態から身体を守っているのです。
脳の気持ちは物を掴もうとしているのに脊髄は手を離すよう決定するという、この脊髄反射同様の、現地判断の重要性を孫子は説いています。それと共に、現場指揮官の心構えと覚悟が、地形篇その三の内容となっています。
組織や活動体が弱まってきたときに、所属する者たちに起こりがちな六つの状況の続きです。
その第四は「崩」で、内部分裂によって壊れてしまう様子です。これは、将軍と副将が仲違いし、怒った副将が将軍の指示に従わなくなり、その亀裂を突いて敵が攻めて来たときに起こります。
窮地に陥った副将は、いよいよ将軍を怨み、もう自己判断で戦うしかありません。一方将軍は、そういう副将を益々無能と判断し見捨てます。憐れなのは部下たちで、どちらに付いて行ったらいいのか皆目分からなくなり、とうとう全面崩壊に至るわけです。
組織や活動体が弱まると、そこに所属する者たちに六つの状況が起こります。
その第一は「走」で、走って逃げ散る様子です。これは、全体としては「敵味方の勢力が等しい」のに、敵の分断策によって分散させられてしまったときなどに起こります。個々の戦闘場面で「一でもって十を撃つ」しかない事態に陥るのです。こちらは1割の勢力に過ぎないのですから、「軍隊は散り散りになって」勝手に走るばかりとなります。
組織や活動体が弱まると、走る・弛む・陥る・崩れる・乱れる・北(に)げるという六つの状況が起こります。孫子は、これらは決して天の災いなどではなく、指導者の過ちであると断言しました。
それぞれの状況毎に、そうなる原因があります。将たる者は、普段からしっかり自己観照し、敗北に至らぬよう心しなければなりません。