「勝負の時には呼吸をリードできた人が勝つ。隙は相手が息を吸いこんでいる時である。息を止めた時に動作の方向をきめ、吐く時に動作を開始する。このリズムを乱してやると、相手の構えは乱れてくるのである。こちらが相手の吸う息、吐く息をリードできたならば相手を支配することができるのである。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房76~77頁)
連載
其の八十 緊張と弛緩は、二つで一つであり、どちらも重要
沖正弘導師は、諸道諸芸のコツは呼吸の把握にあると教えます。
「素早い動作をするためには、素早く緊張できる神経と筋肉とをもっていることが必要である。緊張ができるためにはよくゆるんでいないといけない。よくゆるんでいてこそよくしまることができるのであってこの緊張と弛緩とをコントロールする大本が呼吸である。だから呼吸を把握することが諸道諸芸のコツを会得することである。だが呼吸を動作に際して意識的にコントロールしようとしてもできないのである。やはり、修練をつんだ結果、自然に身についてくるのが物事の呼吸である。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房76頁)
其の七十九 師について修練しないと、自分勝手な「楽な動き方」を身に付けてしまう
呼吸には、吐く息(呼息)と、吸う息(吸息)と、止める息(止息)があります。それぞれ心身に影響し、呼息は心身を緩め(弛緩)、吸息は心身を引き締め(緊張)、止息は心身を統一します。
其の七十八 この人に何を加えてあげたら、もっと成長するだろうかと考えてみる
心や呼吸が乱れると、重心に狂いが起こる。そして、「スキ(隙)」が生じるということについて、もう少し考えてみます。例えば、勝負欲や金銭欲などの私欲が強く現れますと、勝ちたい・儲けたいという焦りによって心が乱れます。心が乱れれば、呼吸が浅くなり、そこにスキが生じます。
其の七十七 心や呼吸が乱れると、重心に狂いが生じ、スキ(隙)ができる…
瞬間に応ずる身のさばきは、武道やスポーツばかりでなく、生活や人生においても重要です。生活即武道、人生即修練というのが基本であり、後れを取ることの無い速さは、普段から身に付けておくべき「武士の心得」でした。
其の七十六 丹田を中心に体幹が整い、中心力や統一力が生まれる
見るときには全身で見る、感じるときも全身で感じる。そうして、余分な力を抜きつつ、全身(統一された心身)で動作・対応出来るようになっていくことを上達といいます。
「考えていても駄目である。研究し、工夫して、練習を重ねる。そうして自分の心身をそれに適するように育てあげてゆく。これ以外に道にかなった奥義到達の方法はないのである。
其の七十五 字は、手だけで書くのではなく、全身で書け!
ペンで字を書く練習は、慣れないうちは手の筋肉だけで行うから大変ぎこちないです。しかし、だんだん慣れてくるとサラサラ書けるようになります。
其の七十四 見えない世界(深い原点)とつながっている自分を信じよう!
沖導師は、「くつろぎ、あがらないために必要なものは何かといえば、無心無体になる練習をすることである」と教えます。「無心」とは、何かに没入・没頭することによって、心に迷いや囚われが無い状態のことです。
其の七十三 上がらないためには、無心無体になる練習が必要…
本番で普段通りの力を発揮するためには、何かに拘(こだわ)ったり、囚われたり、引っ掛かったりしてしまう心を解き放ってやらねばなりません。いかにして勝敗を決する本番のときに、普段の練習のときのような心のくつろぎと、体の緩やかさを保つかです。
其の七十二 勝負になると、かたくなってしまって平素の力を出せなくなる…
舞踊や音楽などの世界で、これから本番を迎える人に対して師範やコーチが投げ掛けるアドバイスが、「練習と同じ気持ちでやりなさい」とか「普段通りにやればいい」といった言葉です。