天皇のご神徳は、天皇が詠まれた歌である御製(ぎょせい)に示されています。
後柏原天皇(第104代)御製
いかにせば日月(じつげつ)と同じ心にて
雲の上(うえ)より世を照らさなむ(ん)
5 日本は徳を以て政治の本とす(日本は徳を政治の基本としている)
日本では、国家を統合する権限が天皇にあり、天皇に替わる存在はありません。天皇は実在の神として、その徳を体現(たいげん)されています。
太陽は、生命の源(みなもと)となる光と熱を、あらゆるものに与えています。
それなのに、御礼(おれい)を求めたりしません。人間は、雨が降ったときに傘(かさ)を貸しただけでも、相手から御礼を言って貰わないと不満を感じてしまいます。なんという醜(みにく)い心でしょうか。
絶対奉仕(ぜったいほうし、他に比べられるものがないくらい最高の奉仕)
自分を空っぽ(からっぽ)にして、他に仕えることを奉仕といいます。
自分の事は後回しにして誰かのために働いたり、見返りを求めないで相手のために一心に励んだりするのが奉仕です。
正義(せいぎ、筋の通った正しい道)
正という漢字は、一に止(とど)まると書きます。気持ちが揺れていると、どちらかに決めることができず、二股(ふたまた)をかけるようになります。
そういうあやふやな態度は取らないで、一つの事をきちっと守り、心を乱さないでいるようすが正です。すなわち、迷いが消えて、意志が定まった状態が正なのです。
勤勉(きんべん、よく努めて働くこと)
よく努めて働くことを、勤勉といいます。勤勉も、人が守るべき立派な心がけです。そのお手本をどんな人に求めようが、結局太陽よりも優れた存在はありません。太陽は一分一秒も休むことなく、本当に勤勉そのものです。
確実(正確な太陽をお手本に、信用される人になろう)
どれほど精巧(せいこう)な時計であっても、僅(わず)かながら進みや遅れが生じます。少しも間違いがなくて正確なものを探すとすれば、一番は太陽でしょう。時計が示す時刻を疑うことがあっても、太陽の日の出や日の入りが、今日もきちんと行われるかどうかを疑う人はおりません。
超然(ちょうぜん、何を言われても平気でいられるようす)
まだ一人前ではないときほど、いつも毀誉褒貶(きよほうへん、褒(ほ)められたり貶(けな)されたりすること)に心を動かされます。
少し褒められると有頂天(うちょうてん、得意になって思い上がること)になり、少し悪口を言われると、たちまち希望を失って肩を落とし、前に向かおうとする氣力を無くします。
慈愛(慈しんで愛すること)
昔から慈愛に富んだ聖者(せいじゃ、偉大な精神的指導者)は沢山(たくさん)いました。慈愛とは、深い愛情で人々を慈(いつく)しむことです。でも、愛情を持ち続けるのは、なかなか大変です。慈愛の永続性において、太陽に及ぶものは他にありません。聖者であっても、太陽には敵(かな)わないのです。