第6章 民本主義(みんぽんしゅぎ、国民が根本という考え方)
現在の世界は、民本主義という思想で成り立っています。民本主義は、国民を根本とする考え方のことです。
社会に新しく登場した新人(しんじん)は、この新しい思想に驚き、乗り遅れてはいけないと感じました。そして新人たちは、日本の思想界も民本主義にしなければならないと叫んでいます。
第6章 民本主義(みんぽんしゅぎ、国民が根本という考え方)
現在の世界は、民本主義という思想で成り立っています。民本主義は、国民を根本とする考え方のことです。
社会に新しく登場した新人(しんじん)は、この新しい思想に驚き、乗り遅れてはいけないと感じました。そして新人たちは、日本の思想界も民本主義にしなければならないと叫んでいます。
そして、隣の国である支那(しな、チャイナと同じで中国のこと)をご覧ください。昔は立派な時代がありましたが、現在(大正時代頃)の支那は中心が定まらず、常に人民は、恐れと不安を感じながら生活している状態です。その原因は、中心に向かって一つにまとまっていないところにあります。
さて、こういう意見もあるでしょう。「それぞれ個人が立派になって活躍すればいいだけのこと。そうすれば社会も国家も、結果として発展し充実(じゅうじつ、中身が満ちているようす)していく」と。この意見は、誤解(ごかい)を招きやすい言葉です。間違った考え方が、そこに流れております。
中心確立と総幸福(中心をしっかり立てれば、みんなが幸せになる)
物質的なことも精神的なことも、安定しているほど悩みは小さくなり、人は幸せになっていきます。
では、安定するにはどうしたらいいかというと、やはり中心の確立が必要です。まず中心があって、それがしっかり立っており、さらに不動(ふどう)となれば全体が安定します。
中心を確立(かくりつ、しっかり立つこと)させることは、自然の法則(ほうそく、きまりや原則)です。会社であれ、学校であれ、家庭であれ、自分自身であれ、その存在を成り立たせ、成長・繁栄させる根本が中心の確立にあります。
人間社会を見れば、中心や中心者の存在が、いっそう明確(めいかく)になります。国家には元首(げんしゅ)、実務(じつむ、実際の業務)としての政治には首相(しゅしょう、総理大臣のこと)、宗教には教祖、会社には社長、学校には校長、家族には主人(しゅじん、世帯主(せたいぬし)ともいう)がいて、それぞれの中心者となっています。
第5章 中心主義(中心に向かって一つにまとまろう)
立ち位置を日本に定めて生き、その上で世界に貢献(こうけん)する。これを大日本主義と言い、大日本主義には中心主義も含まれます。
中心主義とは、中心に向かって一つにまとまることを大方針としている考え方のことです。それが「天地の大道」(てんちのだいどう、天地自然の根本的な原理)であることを、二つの項目(こうもく)に分けて説明しましょう。
我が国は、太陽の精神で建国され、その原理に基(もと)づいて栄えてきました。これからも、この原理に則り、国内では同胞(どうほう、同じ国の人々)が仲良く生活し、外国の人たちとも連携協力(れんけいきょうりょく)して、ますます親睦(しんぼく、仲むつまじくすること)を厚くしましょう。
11 抱擁渾一(ほうようこんいつ、大事に抱かれて一つに混じり合うようす)
宇宙を遍(あまね)く照らすほど、照り輝く神様が天照大御神(あまてらすおおみかみ)です。日本は、大御神の光のもとに多くの人々が集まり、一つに混じり合って同化(どうか)した国です。そうして、日本民族が創造されました。そこに、日本民族が高い品位と明るさを備えている理由があります。
何か新しいものが入ってくるときに、手放しに喜ぶのも、恐れてばかりいるのも、どちらもいけないことです。あるいは、はじめから嫌ってしまうのも、一種(いっしゅ)の心の降伏(こうふく)です。