その60 日本語で育つと“日本人”になる

8月も半ばを過ぎると、夜は秋の虫たちが鳴き出します。その虫の音(ね)を聴いて、理由は分からないものの、しんみりと感傷にふけるのが日本人の心情です。

この感受性は人類共通のものかと思っていたら、さにあらず。どうやら日本人特有の感性らしいのです。虫の音を雑音として聴いてしまう外国人とは随分違うとのこと。

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その59 日本語の成り立ちの古さの証明

以上の通り、一音一音がキチンと発声されるということと、母音が明瞭であるということの、2つの特徴を強く残しているのが日本語です。

言語というものは、いきなり複雑な構造を持つということは考え難く、まず一音一音の発声から始まります。しかし、一音ずつでは表現が限定されます。そこで音を組み合わせて単語をつくり、形容詞や動詞が出来て文法が形成され、言語として組み立てられてまいります。

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その58 いわゆる「50音表」は、一音一音にイメージがあることを示している

母音の「あ」は開く(開明)、「い」は命(積極)、「う」は閉じる(閉塞)、「え」は枝分かれ(伸長)、「お」は大きい(偉大)という意味があるということを先に述べました。母音は子音の母体ですから、これらの意味は、各段の子音にも影響を与えます。ア段・イ段・ウ段・エ段・オ段、それぞれの段に共通した意味が現れるのです。それは次の通りです。

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その57 カ行音は溜めた息を強く出す。その意味は硬くて強い!

この5母音に、何らかの障害を加えると子音になります。ここから少々専門的な解説になりますので、発声の仕組みに興味が無い場合は、どうぞ読み飛ばして下さい。

カ行~ワ行の発声の仕組みは、次の通りです。

口腔の奥の部位(後舌面と軟口蓋の間)を絞り、溜めた息を強く出すとカ行音(軟口蓋音+破裂音)。上の前歯と舌先で調音し、摩擦させるとサ行音(歯音+摩擦音)。上の歯茎に舌先を当て、舌を離しながら溜めた息を強く出すとタ行音(歯茎音+破裂音、※「ち」と「つ」は摩擦も加わるので歯茎音+破擦音)。

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その56 あ音は開く、い音は命、う音は閉じる、え音は伸長、お音は偉大

48音の一音一音が、キチンと発音されているのが日本語であり、その一つ一つに発声上の特徴と、それに基づく意味があると述べました。分かり易く言えば、発声の仕方がそのまま意味を生むという「自然発声音」で成り立っているのが日本語なのです。

日本語の5母音(あいうえお)を例に、自然発声音を説明しましょう。母音は、声帯が震えて出た声(有声音)が、口の中で何らかの障害や摩擦を受けないで発声された音のことです。子音に対して母体の役割を果たしているので母音と呼ばれています。

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その55 山のように多く集まった言葉が大和言葉

「やまとことば(大和言葉)」という言葉そのものの音義(音の意味)について述べておきます。やまとことばの「やまと」を山止、即ち「山(やま)」+「止まる」に解釈すれば、山のように止まるという意味になります。山のように多く集まった言葉が、やまとことばであるという理解です。

もう一つは、「八(や)」+「まとまる」です。八雲(やくも)や八重垣(やえがき)、八岐大蛇(やまたのおろち)など、八(や)には沢山という意味があります。それがまとまるのですから、多くの言葉が整っている様子を表していることになります。

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その54 志士たちの和歌に見られる、澄んだ決意と溢れる情感

漢字の音をそのまま発音するのが音読み、大和言葉で発音するのが訓読みということを述べました。この音読みと訓読みには、どちらにも「文章を作る際の向き不向き」があります。

漢字の熟語が主体の音読みは、どうしても表現が硬くなります。堅牢にして四角張ったイメージがあり、学術論文や法律文など、曖昧さを許さない文の作成に向いています。

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その53 日本語のルーツは日本

続いて、日本語の特徴について述べます。第一の特徴は「日本語は極めて古い言語である」というところにあります。日本の周辺に“親戚関係”となる言語が見当たらず、どこにルーツがあるのか不明なため、言語の系統を説明することが出来ないのです。そういう言語を孤立語と言います。

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その52 人間の幸せは、分かり合える人たちと暮らすことによって得られる

同じ人種が集まって同じ土地に住み、同じ言語を話して同じ文化・習慣のもとに生活し、共通の信仰を持っている人々のことを民族と呼びます。また、国家への帰属意識を有しながら、その国に国籍を置いて生きる人々のことを国民と言います。

日本の場合、ほぼ一民族(大和民族)で国民が形成されていますが、通常はいくつかの民族が集まって一つの国家が成立しています。あるいは、一つの民族が国境をまたいで、二つ以上の国家に分散している場合も沢山あります。

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その51 文化の多様性は、言語の多様性が支えてきた

言語の消滅問題を話題に上げますと、「自然に減るものは仕方ない。むしろ言語は一元化したほうがいい。世界の言語が一つになれば、外国語を学ぶ必要がなくなり、意思疎通が楽になる」という意見が必ず出ます。「言葉は単なる意思伝達の手段に過ぎない」と思っている人ほど、そういう考え方を唱える傾向にあるようです。

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