昭和天皇のご進講役であった三上照夫氏が説く「経営の五原則」の第二は、「社会的任務の自覚」です。「わが社の社会的役割を明らかに」し、「社業を通じて社会的任務を果たしているという」自覚が社員にも欲しいとのことです。
(2018宮崎貞行『天皇の国師 賢者三上照夫と日本の使命』きれい・ねっとp.264.)
即ち、仕事の意味、わが社の存在意義を明確にせよと。
さらに第三の原則は、「社風の確立」です。社風は会社の風格や雰囲氣のことで、トップの人格がこれを創ります。社風によって社員は育っていくのですから、トップの自己修養による人格の向上はとても大切なことです。
経営理念が確立され、会社の使命が明確になり、トップの存在そのものが社風の基本となってきましたら、次の第四の原則は「幹部の教育」です。いくら素質や才能が立派でも、一人きりでは大きな事をやれません。やはり仲間や同志が必要となります。
トップの思いを共有し、その志を一緒に果たしてくれる幹部が、どうしても欲しいのです。教育には辛抱強さが求められ、なかなか骨の折れる作業となりますが、側近と呼べるくらいの幹部を、じっくり育てていくことを決して忘れてはなりません。
そうして、トップから幹部へ、幹部から社員へと、富士山の裾野が広がっていくように理念や使命が伝播することが大切です。要は、「精神エネルギー場」とでも言うべき意識の繋がりを起こせるかどうかであり、それによって会社は生命体へと高まっていくわけです。
「経営の五原則」の最後が、「共同運命の自覚」です。これは、「自分の仕事」と「会社の仕事」が繋がっているということの自覚です。自分の役割は、会社全体の中でどこに位置しているのか、自分がいないと会社はどう困るのかについて、よく知ることによって使命感が高まっていくのです。
いずれにせよ、トップの役割は本当に重要です。三上氏は「経営は自分の器にあったものしか、身につかない」ものであり、「会社は、社長の器以上に大きくは」ならないことを強調されました。(同p.270.)(続く)