その54 衰亡の芽は好調なときに生ずる

両軍がぶつかり合う戦闘では、双方の兵士が入り乱れていき、敵味方の見分けが付きにくくなってしまう場合があります。しかし、そのままではいけません。個々バラバラな戦いにならないよう注意し、とにかく味方を分散させないことです。こちらの隊形が崩れさえしなければ、決して負けることは無いのです。

会社も同じです。社員一人一人が任された業務を全うするのは当然として、それと同時に、自分の部署だけでなく会社全体をよく理解し、社員一丸となって連携出来る環境を創らねばなりません。単なる個人戦の寄せ集めではなく、組織として戦える集団的結束力を起こせということです。

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その53 もつれて乱れたままではいけない

先にも述べましたが、戦闘というものは兵士が個々バラバラに戦っているようでダメで、部隊編成や指揮系統によって、統一された集団戦とならないと勝利を収めることは出来ません。それは、現代の経営や社会活動にも通用する大事な心得だと思われます。

《孫子・兵勢篇その四》
「もつれて紛れ乱(みだ)れた戦いになっても、乱したままではいけない。はっきりせず見分けの付かないほどの状態となっても、隊形を丸くまとめるよう努め、敗れることがあってはならない。

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その52 漢字の「氣」は、大和言葉では「ミ」や「ヒ」に相当

なお、日本人は「氣にするな」とか「氣のせいだよ」などと口にし、氣という漢字をハッキリしないものを表すときに用いていると述べました。それに対し、「氣」は実在するエネルギーであるとするのが中国人の考え方なのですが、日本人にこのエネルギーに関する考え方が無かったのかというと決してそうではありません。

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その51 人間が放つ「氣」には、大きな働きがある!

街角で有名人とすれ違ったとき、「今の人、確か誰それさんだよね?」と囁き合います。やはり画面で見るよりも、「生(なま)」で見るのはインパクトが全然違います。映像よりも生、録画よりもライブというわけで、実物に接することには、とても大きな意味があるようです。

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その50 氣を通してトドメを刺し、相手を圧倒する!

威力は質量よりも速度で増すのだから、スピードを付けて一点を攻めれば勝機を掴むことが出来るということを述べました。そこに、もう一つ加えたいことがあります。それは「氣(気)」を出すということです。

「氣」は「米」と「气」が合わさった漢字で、ご飯(米)を炊くときに上がる湯氣(气)を表しています。湯氣は透けて見える捉え難い存在ですが、蒸気となって重たい蓋を持ち上げてしまう力があります。だから、明らかなエネルギーであることに間違いありません。

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その49 攻撃ポイントへの一点集中が加われば、威力は格段に増す!

激しい水流が岩石を動かすのが「勢い」であり、鷹や鷲など猛禽類が獲物を捕らえる一瞬が「節目」であることを述べました。孫子は「勢い」と「節目」について、さらに次のように説明していきます。

「戦いの上手な者は、その勢いを険しくし、節目を一瞬に集中させる」が、「勢いは石弓を張るときのようなものであり、節目はその引き金を引くときのようなものである」と。

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その48 速さと勢い、それを一瞬のチャンスに注げ!

物理学に「運動エネルギー」という言葉があります。運動している物体が何かに当たったときに、相手を動かしたり変形させたりするエネルギーのことです。

運動エネルギーは、物体の質量(重さ)が増えるほど大きくなり、運動の速度が速くなるほど大きくなります。その際、運動エネルギーは物体の質量に比例し、速度の二乗に比例します。重さが倍になればエネルギーも2倍になるのに対し、速さが倍になればエネルギーは4倍になるというのですから、とりわけ速度が重要になることが分かります。

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その47 虚を攻めるというのは、決して卑怯なやり方ではない

原理原則に基づいた正法で基盤を整え、現場では奇法を存分に使って臨機即応に動くという在り方は、経営や仕事にも置き換えられます。

まず定石通りの基本(正法)を身に付け、それから現場の対応力(奇法)を養うという順序は、物作り、設計、料理、治療、カウンセリングなど、殆どの分野で踏んでいることです。武道も、基本をしっかり稽古し、定石通りの攻撃法が身に付いてから応用技に進みます。

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その46 奇を以て虚をつく!長州藩士・高杉晋作の活躍

孫子は「およそ戦闘というものは、正法で合戦し、奇法で勝つことになる」と述べました。先に解説した通り、正法は正規軍による定石通りの攻撃法、奇法は敵の虚である搦め手や側面を攻める方法のことです。

定石に則る正法は戦い方の基本なのですが、ともすれば教科書通りの運用となりがちです。現実においては、戦い毎に状況が異なります。似ている戦闘はあっても、全く同じ戦いというものはありません。

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その45 定石通りの攻撃と奇襲攻撃、これらを巧みに組み合わせよ!

孫子によれば、攻撃には「奇正」の別があります。「正」は「正法(正攻法)」を意味し、正規軍による定石通りの攻撃法です。正面突破を可能とさせる、正規の作戦が正攻法となります。

これとは別に、敵の虚(弱点)である搦め手(からめて、裏門・裏側)や側面を攻める方法があり、それを「奇法(奇攻法)」と言います。状況の変化を読みながら、虚に対して奇襲攻撃を仕掛けるやり方で、特殊編成の遊撃隊が担当します。不正規兵力によるゲリラ戦も奇法に含まれます。

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