其の百二十四 プラナを補給すると、神経の疲労が回復する…

宇宙に存在する根源的で超微粒子的なエネルギーを、最先端の量子科学では「量子」と呼んでおり、漢字では「氣」、大和言葉では「ひ」、「み」、「みいつ」、「なほひ」などに置き換えられるだろうと述べました。そして、ヨガでは「プラナ」であると。

「プラナはあらゆる生体に存在し、空気中にもくまなく存在しているが、しかしそれは物質-空気の化学的構成元素-ではない。現代の物質科学もこの偉大な神秘的な力について、空気中にまだ知られていない何物かがあるということはわかっているが、だが、これは物質ではないからまだこれに結論を下すことができないでいる。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房98頁)

プラナは、生命体にも空気中にも存在している。しかし、空氣を構成している、単なる物質的な要素ではないとのことです。

「だが、ヨガ哲学では、普通の空気中の酸素が、血液の中に摂取されて酸化作用が行われると同様に、空気中にあるプラナは神経系統に摂取されて、酸化された血液が血管を通じて、身体のあらゆる部分に運ばれて、新陳代謝が行われるように、神経系をとおって身体のあらゆる部分にくまなく存在して、力と生命力とを与えるものであると教えている。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房98頁)

酸素が血管と血液を介して運ばれるように、プラナは神経系統を通して全身に運ばれるとのことです。

「血液が肉体の疲労した箇所に必要であるように、プラナは思考・意思・行為・感情等によって消耗された神経系に必要欠くことのできないものである。従ってこれを絶えまなく補給することと大量貯蔵する必要がある。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房98頁)

神経は、中枢と全身をつないでいる情報伝達経路です。そして、「神経をすり減らす」という言葉がある通り、神経は「思考・意思・行為・感情等」の精神活動によって“消耗”します。

プラナは、そうして疲労した神経を回復させる生命力の元というわけです。肉体は血液、神経はプラナ。このような見方は現代科学の認める(解明している)ところではありませんが、心身の統一を図る上でとても大事な捉え方だと思われます。(続く)