其の百九 自分との戦いに負けると、宇宙力は己の中に入って来ない…

よく、勝負は相手との戦いではなく、自分との戦いであると言います。実際、物事が成就するかどうかは、結局自分との戦いによって決まります。

その戦いで大切なのが、自分の意識の持ち方です。残念なことに、信念の強化を止め、希望の達成を阻む意識があります。沖導師によれば、それは消極的な意識と消極的な生活です。

「信念強化、希望達成のため大きな障害となるものは消極的生活と消極的観念である。われわれの思考方向は習慣の産物であるから、内部意識を掃除して、この内容を積極的にして置かないと、無意識的に消極的になってしまうから注意しなくてはならない。せっかく目的を立ててその成功の映像を描きつづけても、その間に反対的な現象が現われるようなことがあると、反対現象に打ち消されて負けてしまい、目的は決して成就しない。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房91~92頁)

そして、人間の意識の方向も、結局は習慣の産物であるから、まず意識の消極性を掃除し、それを積極的な方へ向けよとのことです。

せっかく目的を立てて事を起こし、成功している姿を描き続けていても、一度(ひとたび)障害となる現象が生ずると、そのマイナス方向の出来事に引っ張られていき、希望は萎み、夢は消え、心にブレーキが掛かり、意気消沈のまま終わってしまうのです。

つまり、自分の内部に生ずる「マイナスの意識」との戦いが、自分との戦いの本質というわけです。これに負けると、もう宇宙力は己の中に入ってきません。

「であるから成功の秘訣はこの束縛から解脱し、自己を解放し、自己の力を向上しながら、積極的に建設の面に注ぐべきである。

思念は常に強くなければならない。弱い思念は強い思念に負けてしまう。いつも相手方を負かす強い思念の持主であれば、すべての交渉は意のままに解決して成功疑いなしである。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房92頁)

では、強い思念のために何が有効となるのでしょうか。それが自己暗示です。(続く)