其の百五 世のため・人のためという、利他公益的な希望や夢を描こう!

希望や夢を持つことは大事ですが、希望や夢にもレベルがあります。自己中心的なレベルから、利他公益的なレベルまであり、どのレベルであれ強く願い、知恵を使って工夫し、諦めず続けていけば一定の成果は出ます。

しかし、どうせ描くなら、世のため・人のためという、利他公益的な希望や夢であって欲しいものです。その基本となるのが、真心の「仁」や、筋を通していく大義や正義の「義」、人々に喜びを与え・悲しみを取って差し上げる「慈悲」の心などでしょう。

揺らぐことの無い仁や義、慈悲の精神によって、「考え方」の軸が確立し、何が大切かを察知する「感じ方」が生まれ、利他公益への「生き方」が成立するものと思います。これらの「在り方」を整えないまま、単に目標設定ばかりやっていくと、いつまで経っても「自己本位な夢追い人」の段階から抜け出せないまま終わってしまいかねません。

前者となってレベルを上がられるよう、「考え方」や「感じ方」、「生き方」などの「在り方」を、いかに深層意識(無意識の領域)に定めていくかです。それについて沖正弘導師は、次のように述べています。

「思考には意識的なものと、無意識的なものとがある。無意識的なものは体内に潜んでいるもので、これが無意識に働いてわれわれに根本的な影響を与える。これがだれにも実在する潜在勢力である。

この体内に潜む無意識的思考力を観念または信念というのであって、これが体の働きを左右する実現力を持っているのである。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房90頁)

無意識的な思考が深層意識であり、それが知らず知らずのうちに働いては「われわれに根本的な影響を与え」ます。深層意識に利他公益の精神が潜んでいれば、それを信念とする「体の働き」が起こり、迷うことなく人に喜ばれる仕事を選ぶようになります。しかし、私利私益の思いだけが潜んでいれば、それを基準に、ときにお客様を騙し、人を裏切っても平気な人間になってしまうわけです。(続く)