天皇陛下は、いつも国家の繁栄と国民の幸福を祈られている。「天皇のまつり」すなわち宮中祭祀について、皇學館大学特別教授で神道学博士の松浦光修(みつのぶ)氏は、次のように述べている。
「毎朝、天皇陛下の代理の侍従が「宮中三殿」にお参りし」、その間「天皇陛下も「おつつしみ」になっている」(2025松浦光修『そうだったのか!日本の神さま』株式会社経営科学出版p.58.)
天皇陛下は、毎日お祈りをされているのである。その中で、「天皇陛下は、日々、私たちの幸せを祈ってくださって」おり、この「一つの事実だけでも、全国の学校で教えるようになれば、みちがえるほど日本の子供たちの心は立て直され、やがては混迷を続ける日本にも、希望の光りが差し染めるのではないか…と私は思っています」と松浦氏は強調されている。(同p.72.)
ところが、宮中祭祀のことを国民は殆ど知らない。このままではいけない。
「天皇陛下の祈りとお祭り」について、その実際を特に子供たちに知らせる必要があると。
松浦氏は、日本思想の全体と核心を、的確に捉えている大学者だ。天皇陛下が沢山の宮中祭祀をお勤めになっている事実を、宮崎氏と同じく下記のように説かれている。
「お祭りの回数は、年によってもちがいますが、「宮中三殿」では、毎朝のお祭り以外にも、平均して年間六十回を超える、さまざまなお祭りが行われています。
そのうち、天皇おんみずからがお祭りを執り行われる「大祭」と、小祭のうち、天皇が御礼拝をなされるものなどをあわせれば、陛下がお出ましになるお祭りは、一年で三十回くらいはあるそうです。」(同書p.75.)※「小祭」…掌典長が執り行い、天皇陛下がお出ましのときは拝礼される形式の祭祀
まさに陛下は、最上位の神職、最高の神主(かんぬし)である。宮中三殿の「賢所」には、皇祖天照大御神がまつられている。「神殿」には、天神地祇(てんじんちぎ)つまり天の神々と国中の神々がまつられている。また皇霊殿には、歴代天皇・皇族の御霊がまつられている。
従って、その祈りは、大宇宙生成の神々である別天津神(ことあまつかみ)や、皇祖皇宗(天皇の遠いご祖先)につながっているのである。
この「天皇の祈り」のお姿に、国民がお手本とすべき祈りの基本があると思う。
空間的には大宇宙(アマ)、時間的には祖神祖霊とつながることで、ちっぽけな自我を超え、大我や無我の域に到達する生き方が導かれていくことになる。
そうして、国民一人ひとりの霊性が高まっていけば、日本は必ず再生されるに違いない。(続く)