神(かみ)とはなんでしょうか。大和言葉のカミには、目に見えない奥深い働きや作用という意味があります。
カミのカ音は隠れる・影・陰・霞む・風・空(から)などのカで、ハッキリしないが奥深い働きのある様子を、ミ音は実・身・水(みづ)・満ちるなどのミで、本源や本質を表しています。
カミは目に見えないものの、決して空虚な観念などではありません。実質(ミ)を秘めた実在として、あらゆる働きや作用を起こす根源となっております。
その目に見えない働きや作用の中に、生命(いのち)の活動があります。精妙に作用する生命の働きこそ、まさに神と呼ぶべき尊い活動なのです。
そして、神は自分の中におり、この自分自身も神(神の子)に他なりません。
生命を神と受け止めるということや、神の内在を感得するということ。そこから、生命観や人間観、医療観が進化(統合発展)していくのではないかと思われます。
「ヨガでは神は自己の中にある、と教える。すべての現象は宇宙の働きの現われである。われわれがこの如く存在しているのもこの働きが内在しているからである。われわれはこの働きに生命と名付け、神と呼んでいる。かく自覚する時、「神は自己の中にある。救い主は自己の中にある。」という真実が納得できるのである。ヨガは、神(生命の働き)を生活に現わすことを目的とする教えである。」(沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房6頁)
この世界の一切の現象は、宇宙の働きの現れです。その働きは、我々一人一人に及んでおり、ヨガではそれ(宇宙から与えられた働き)を生命と名付け、神と呼んでいると。
そうであれば、生命は即神(そくしん)であり、自分の中に(生命の働きとしての)神が宿されているということになります。従って、自分の救い主は、他ならぬ己(おのれ)自身なのです。
この自己に内在する神(生命の働き)を、存分に生かし切るところにヨガ修行の意味があります。大宇宙の働きと、自分に内在する働きを結んでいくのです。マクロコスモスとミクロコスモスは一体なのだから、宇宙を信ずる者は己を信じ、己を信じる者は宇宙を信ずることになるというわけです。(続く)