「まつる」は、「祭る」と「祀る」のどちらを書けばいいの?

こんばんは。三連休が終わり、今年の本格的な仕事は明日がスタートという方も多いのではないかと思います。コロナ第6波が気になりますが、日本改新のため為すべき仕事は山ほどあります。心して取り組みましょう!

今週は木曜日が政経倶楽部の東京例会、金土が林塾・第17期全国合同伊勢合宿で講義をします。

◆日記(7日~9日)

・7日(金)愛知県倫理法人会・新年互礼会で原大本轍を講演(350名ご参集)。

・8日(土)以前からお参りしたかった、京都高尾山の神護寺(高尾山寺)へ。
創建者は、平安京造営の最高責任者であった和気清麻呂公。清麻呂公は、覇王になろうとした道鏡の野望を阻止し、国体を護持した名政治家なり。
やがて、高尾山寺に空海が入山し、14年間住持となる。空海は最澄に、密教の儀式である灌頂を授けているが、行われた場所はこの高尾山寺であった。
寺域が広く、お寺全体が霊域となっている。道が混んでいなければ、京都駅から車で僅か30分程度の所にある。多くの霊山に囲まれた都市が、京都であるということを再認識した次第。

・9日(日)京都綜學院・第3期1月例会で講義~松下幸之助の人間観・人間道

●評論・随筆●

◆「まつる」は、「祭る」と「祀る」のどちらを書けばいいの?◆

年始は、初詣のお祓いや新年ご祈祷など、祭祀(さいし)に接する機会が多い。祭と祀はどちらも「まつる」と訓読みする漢字だが、「祭る」と「祀る」とでは、一体どう違うのかというご質問をいただいた。

そこでまず、漢字の成り立ちを調べてみよう。

祭は、お供え物の肉(月)を手(又)で祭壇に上げている様子を表した会意文字だ(※意味が組み合わさった漢字のこと)。

祀は、祭壇に上げたお供え物の肉から血が滴り落ちている様子の「示」と、「し」という音を表す「巳」が組み合わさった形声文字だ(※半分が意味、半分が音符となっている漢字のこと)。

ということから結論を言えば、祭と祀は、どちらも祭壇にお供え物を上げている様子を表す漢字なのだから、意味として殆ど違いは無く、どちらを使っても構わないということになる。

但し、祀は「とし」とも訓読みし、殷王朝では「年」を意味していた。年は天の運行が元となっており、「祀天(してん)」と言えば冬至の日に天を祀ることであった。

つまり、祭と祀はほぼ同義だが、祀のほうがより「天をまつる」という意味が強いことになる。

また、「まつる」の大和言葉としての意味を言えば、「ま」は時間・空間を同時に表しており(時の間と空の間)、「つ」は継ぐ・続ける・繋(つな)げるという連続の意味を持つことから、まつるとは時空を繋いでいくことに他ならない。

従って、時空を超えて天(宇宙)と人間を結び、神々と人々を結び、ご先祖と自分たちを結ぶのがまつりの本義なのだ。そうであれば、祭よりも祀のほうが天の運行を意味している分、より大和言葉の意味に近いということになる。

あくまで私個人の印象だが、「祭る」と書くよりも「祀る」と記す方が厳かで幽玄な感じがする。残念ながら「祀」は常用漢字に無く、公文書は「祭」に統一されているらしい。出来れば「祀る」という表記も許されるようであって欲しい。