こんばんは。本日は天長節(天皇誕生日)です。
今上陛下は、満63歳の誕生日をお迎えになられました。
スメラミコト弥栄!
●評論・随筆●
◆人間には、大宇宙から授けられた尊い使命がある!◆
『古事記』の「修理固成」…
「修め」は整えつつ伸ばす、
「理り」は努力を重ねて組成する、
「固め」は奥深く充足させる、
「成せ」は調和させることを表している大和言葉なり。
人間には、大宇宙から授けられた尊い使命があります。日本神話の『古事記』に記されている、「この漂へる国(くに)を修(をさ)め理(つく)り固(かた)め成(な)せ」という言葉がそれを示しています(原文は「修理固成」)。
「漂える国」のクニは、「時間をかけて組まれた存在」のことで、ここでは大宇宙という大きな結合体を指しています。それが「漂っている」というのですから、宇宙は未完成であり、生成発展の途中にあるということが分かります。
そこで、大宇宙生成の神々である「天つ神」は、人類の始祖である「イザナキの命」と「イザナミの命」に「この漂へる国を修め理り固め成せ」と言寄(ことよ)せなさいました。
これら「修(をさ)め」「理(つく)り」「固(かた)め」「成(な)せ」の一つ一つの大和言葉に、一体どんな意味があるのでしょうか。
「修め」の発音は「おさめ」ですが、振り仮名は「をさめ」であり、音義(音の意味)は「を」でみる必要があります。「を」には、尾(を)・治(をさ)む・収(をさ)む・終(を)ふ・尾張(をはり)などが示すように、終了の意味があります。
また、そこからさらに尾のように張り伸びていくという意味もあります。だから「修め」は、整えつつさらに伸ばしていくことを表している大和言葉です。
「理り」は「つくり」と読みます。「つ」には付く・続く・連なるのように連続の意味があり、「く」は組む・括るの「く」で結合を表します。だから「理る」は、努力を重ね、組成させていくことを表しております。
「固め」は「かため」と読みます。音義として、「か」は陰・風・霞む・空(から)などの「か」で、奥深くて幽玄な様子を表します。それから「た」は平ら・溜まる・民(たみ)などの「た」で、多く集まる様子を示します。従って「かため」は、奥深く充足させることを意味する大和言葉です。
「成せ」は「なせ」です。「な」は治る・仲間・凪ぐ・和やかなどの「な」で、調和を意味します。
こうして、「修め」は整えつつ伸ばす、「理り」は努力を重ねて組成する、「固め」は奥深く充足させる、「成せ」は調和させることを表している大和言葉となります。
大宇宙は未完成だから、しっかり修め、理り、固め、成しなさいと。そうして、イザナキとイザナミは、そのための力の象徴として「アマノヌボコ」を天つ神からいただきました。だから、我々は最初から宇宙を進化させる力を与えられているのです。
神話によれば、人類の誕生には大きな意味があります。未完成な宇宙を、もっと進化させるために人類が誕生したのですから。すなわち、大宇宙と人間は「生成発展」という共通の目標を持っているのであり、天人合一(宇宙と人間は合一)の関係にあるというわけです。
この修理固成をいろいろな場面に置き換えれば、人生はもっと豊かで幸せになることでしょう。一体この自分は何を受け継ぎ、整え伸ばしていく(修め)ために生まれたのか。志を立て、ある事をはじめた以上、きちんと努力を重ね、どう組成させていくべきか(理り)。さらに、奥深くまで充足させるためにどんな創意工夫を行ったらいいのか(固め)。そして、全体をどう調和させていくのか(成せ)と。
なお補足ですが、ハッキリしないことを表す「か」音には、疑問の意味もあります。「本当ですか?」「いつですか?」などのように文末に「か」を付ければ疑問文となります。
また、この奥深くてハッキリしないということが、位置を示せば彼方(かなた)となり、片側や片田舎の片(かた)ともなります。従って「固め」には、奥深いという意はもとより、どちらか片方に偏らず、中央だけでなく左右にも、さらに近くばかりでなく遠くにもヌボコの完成力を活かしなさいという神意が込められていると思う次第です。
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