その24 国家が持つ膨張侵略性を、どう抑え、適度にコントロールするか

以上のことをまとめて、孫子は次のように述べました。「戦上手は、敵軍を屈服させるのに戦闘をしない。敵城を落とすのに攻撃をしない。敵国を破るのに長期戦に持ち込まない。必ず痛め付けないで全うする方法をもって、天下に覇を争うのである」と。

そうして「兵力を損なうことなく」相手を制圧するのが「完全な勝利」であり、それが「知謀による」真に有益な攻め方ということになります。

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その23 孫子の兵法と城攻め~リスクを具体的に考えよ!

そうして「さらに次が敵軍を討つこと」となります。実際の戦闘は、敵の謀略を未然に防ぎ、同盟関係を分断させたのちに行うことであって、いきなり軍隊を出動させて戦うというやり方は、決して採ってはならないことでした。

「そして、その下が城攻め」です。最も下策が城を攻めることであり、それには理由がありました。

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その22 同盟国を遠くに見付けるときと、近くの国同士で同盟するとき

戦闘しないで敵を屈服させるための方策。その第一が、敵の謀略を早期に見抜き、策謀が浸透する前に破っておくということでした。そして「その次が敵側の同盟関係を分断すること」となります。

食うか食われるかという厳しい世界の中で、国家は鎬(しのぎ)を削って陣取り合戦に励んでいます。どの国も存亡を懸けて戦い、国益を守るのに必死です。そこで、敵国に対抗するため、利を同じくする同盟国を求めることになります。

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その21 戦闘しないで勝ちたければ、まず敵の謀略を見抜け!

孫子は「百戦百勝は最善ではなく、戦闘しないで敵兵を屈服させるのが最善である」と唱えました。そのためには、優れた知謀が必要となります。

《孫子・謀攻篇その二》
「すなわち、最上の戦争は敵の策謀を破ることで、その次が敵側の同盟関係を分断すること、さらに次が敵軍を討つこととなる。そして、最も下(げ)が城攻めだ。

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その20 百戦百勝は最善ではない

次は『孫子』第三篇の「謀攻篇」です。「謀攻」とは知謀を駆使して攻めることであり、戦闘しないで勝つことを最上とします。

《孫子・謀攻篇その一》
「孫子は言う。戦争の原則では、敵国を痛め付けないで屈服させるのが上策で、敵国を撃破して屈服させるのは次善の策だ。敵の軍団を痛め付けないで屈服させるのが上策で、敵の軍団を撃破して屈服させるのは次善の策だ。

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その19 摩擦や対立が起きても、結果的に自国を強くする逞しい政治が必要

つまり、孫子の考える勝利は、単に戦闘に勝てばいいというものとは違いました。常に国家の存立と国民の幸福を考えた上で、最悪の選択である「疲弊するだけの長期戦」を避けつつ、「短期で勝って益々強くなる」よう努めるところに真の勝利があったのです。そこで、戦利品である敵の兵車を活用するなどして、戦いながら自軍が増強され、転んでもタダでは起きぬよう努めよと教えたわけです。

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その18 敵に勝って益々強くなるとはどういうことか

続いて「作戦篇」は、敵から捕獲した戦利品を有効利用せよと教えます。遠慮することなく敵から得た兵車を、自軍に組み込むよう諭しました。

《孫子・作戦篇その三》
「敵を殺すのは、奮い立つ戦意による。敵から取った利益は戦利品である。車戦で車を十台以上得れば、まず捕獲した者を表彰せよ。車の軍旗を取り替え、それを自軍の兵車同様に扱い、味方の兵士を乗り込ませよ。また、捕虜にした敵兵を手厚くもてなして自軍に編入させよ。敵に勝って益々強くなるとは、こういうことである。

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その17 財政の6割を戦争に費やすという異常事態

国家は国民によって成り立ちます。生活が豊になって国民が幸せに暮らせなければ、そもそも国家の存在に意味は無くなってしまいます。

その国家と国民に、最も多大な被害を及ぼすのが戦争です。それで孫子は「計篇」の最初に「戦争は国の重大事だ。国民の生死が決まるところであり、国家存亡の分かれ道でもある。だから、しっかり考えなければいけない」と教えたのでした。

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その16 兵士・物資・食糧、これらの輸送で国家は疲弊する

「戦上手は兵士を二度と徴用せず」。これは、兵士を一度徴発したら、その兵力で早期に勝つよう努め、繰り返し徴兵して国民を苦しめないという意味です。

「食糧は三度と運ばない」。こちらは、二つの意味が考えられます。一つは、戦争の途中で戦地に食糧を運ばないという意味です。一度目は出陣のとき、二度目は勝利の凱旋のときに食糧を自国から運ぶのですが、その間の食糧は現地で調達せよという指示になります。もう一つの意味は、母国からの食糧配送は二度までとし、三度目は許さないという戒めです。いずれにせよ、食糧の現地確保が重要だったのです。

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その15 食糧や飼料の現地調達が、なぜ重要だったのか

食糧輸送が大きな負担であった理由の一つに、輸送担当者自身の食糧も運ばなければならなかったこともあります。もしも輸送の往復に一ヶ月を要したとすれば、担当者一人につき一ヶ月分の食糧を上乗せして運ぶ必要があったわけです。そこで孫子は、食糧や飼料の現地調達の必要性を説きました。

今日の経済活動は、物流の国際化が進んでいますが、それでもこの「可能な限り現地調達で対応する」という在り方は、心得として生かせる場面があるはずです。

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