いかにして先手を取るか。機先を制するための争いを「軍争」と言い、その心得を教えているのが「軍争篇」です。
《孫子・軍争篇その一》
「孫子は語った。およそ用兵の手順は、将軍が命令を君主から受け、軍を統合して兵を集め、両軍が相対して布陣するのだが、そこから両軍が交争することほど難しいものは無い。
両軍が交争することの難しさは、迂回を直行と為し、患難を有利と為すところにある。そこで、その道を迂回しながら、相手を利益で誘い、人より後れて出発しながら、人より先に着くのだ。これが「迂直(うちょく)の計」を知る者(の方法)である。」