その94 相手の腹を据わらせず、敵を常に動揺した心理状態に置く!

用兵の原則である「九変」の7番目は、「母国に帰ろうとしている敵を留めさせてはならない」という心得です。これから母国に帰ることになっている敵は、気持ちが先に帰郷しています。いわゆる里心が起きることで気弱になっているとも言えますが、反面、帰心に駆られて強くなってもいます。

この戦闘に勝てば、必ず故郷に帰れるという気持ちが、持てる力を振り絞らせます。それで、そういう帰国途上の敵の前に立ちふさがり、無理に押し留めてはいけないというわけです。また、どのみちいなくなる敵ですから、そのまま帰らせればいいとも言えましょう。

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その93 わざと逃げる敵兵や、おとりの敵兵に要注意!

陣を構える場合、こちらが高地を取って低地の敵に向かうべし。逆に、高地に敵が陣取っている場合は攻撃してはならないという原則の補足を述べます。

こちらが高地を確保すれば、兵士に勢いが付くばかりでなく、矢を射たり投石したりする際、物理的に有利となってより遠くまで攻められます。

また、確保した丘を背にし、そこに陣取れば、背後の心配が無くなり、集中して前へ進めます。見晴らしも良好だから、敵軍の動きを的確に捉えることが出来ます。

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その91 松下幸之助塾長は、サロンではなくパーティを起こされたかった…

さて、サロンとパーティという言葉があります。サロンは同好の士が三々五々集まって意見を交換する場であるのに対して、パーティは共通の目的の下に事業を進める活動体を意味します。

文学サロンならば、小説家が集まる喫茶店などが場になっております。そこに活動のリーダーはいませんし、組織があるわけでもありません。しかし、そのサロンから文学運動が起こされて機関誌の発行に至れば、パーティ(党)と呼ぶべき活動体となります。

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その90 相手の充実度を、どうやって見抜くか?

戦う前に勝つための4つの基本として、自軍の「士氣」を高めることと「心理」を静めることの必要性について述べました。後の二つは「活力」と「応変」です。

「活力」は兵士の体力のことで、その充実は敵よりも早く戦場に到着し、有利な地に布陣することによって得られます。味方は「安楽な状態」に身を置き、移動で疲れた体力を回復させられます。ところが敵は、後れて来るので疲労したままであり、布陣も不利とならざるを得ません。

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その89 敵の氣分がストンと下がるタイミングを窺え!

昔は日の出から新しい一日が始まりました。政治も、朝議や朝廷という熟語が示すように早朝に行われるのが普通で、日の出と共に臣下が天子に拝謁して執り行なわれました。

そうして午前中に頑張れば、昼頃にはどうしても気持ちが弛んできます。「朝の氣分は鋭敏だが、昼の氣分は弛惰と」なります。さらに「夕方の氣分」ともなれば、「もう帰って休みたくなる」というのも当然でしょう。

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その88 氣・心・力・変、戦う前に勝つための4つの基本

士氣が衰えて休みたがっている。混乱していて騒がしい。疲れ果てて腹が減っている。敵がこうした状態であれば、今こそ攻めるべきタイミングとなります。

隊列が整然としており、陣容が堂々としている。この場合は、決して正面から攻撃してはなりません。

孫子は軍争篇のまとめとして、「氣」「心」「力」「変」の4つを述べています。氣は士氣、心は心理、力は活力(体力)、変は応変です。これらのキーワードによって、戦う前に勝つための基本が示されました。

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その87 全体が一丸となり、抜け駆けが許されない結束力をどう起こすか

戦闘は命懸けです。敵味方とも、命を落とすことを覚悟して戦いが行われます。誰だって死にたくありませんから、開戦前は恐怖心に襲われて膝がガクガク震えます。極度の緊張状態から逃げ出したくもなります。しかし、いざ「進め!」の声を聞いたら、味方の勝利を信じて戦うしかありません。

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その86 どうして太鼓や鐘を鳴らし、わざわざ旗を掲げるのか?

歴史ドラマの戦闘シーンを見ていると、太鼓や鐘などの鳴り物がけたたましく音を出し、旗や幟が勢いよく翻っている場面に出くわします。音を激しく鳴らせば自軍の場所を敵に知らせてしまうし、旗が堂々と立っていれば自軍の位置を相手に分からせてしまいます。それなのに、どうして太鼓や鐘を鳴らし、わざわざ旗を掲げるのでしょうか。

それは、両軍の交争、つまり「軍争」に負けぬためです。敵を上回る統一力と機動力を養い、機先を制して勝利を導くところに鳴り物や旗の意味があります。

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その85 速さは疾風のように、静けさは深林のように、侵攻は烈火のように…

サッカーやバスケットボールなどの試合を見ていると、相手の裏をかくフェイントが多用されています。多様どころか、フェイントの仕掛け合いでゲームが進んでいると言うべきかも知れません。

孫子は「戦争というものは、敵の裏をかく心理戦で成り立つ」と述べました。お互いフェイントを仕掛けつつ、敵の出方を読み合うことで戦闘が成り立っているのです。

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