其の百五十七 強い薬で症状を抑える、強権政治で人民を抑える、どちらもダメ…

自力は、自分の内に宿されている自然治癒力(免疫力)。他力は、それを引き出すために外から加える力。これら自力と他力が一緒になって治療が進むわけです。

そのために、言葉や呼吸、食事など、生活に留意すべきことを述べました。また、体操やストレッチ、武道やスポーツなどを、バランスよく鍛錬・稽古することで、心身に良き刺激を与えるべきことについても述べました。

沖正弘導師は語ります。

「自力でなおすには、自分の生活法を改めて、自分の刺激で自分の異常を正して、自分の力を振起(病状の裏にひそむ健康な働き)してゆく方法を行わなくてはならない。

自然になおることが正しいなおり方であって、無理になおすことは本当になおったことではないから直ぐ再発したり、余病がでたりするのである。」
(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房pp.130-131.)

治る力を発揮させながら治す。それが自然に治るための王道です。

強い薬を使うなどして一時的に症状を抑えても、それは本当に治ったこととは違います。

薬を止めれば、たちまち再発しますし、病氣の根本要因が奥に入っていって、他の部位に症状が現れてきたりするのです。

政治も、強権政治で人民を抑え付けてばかりいるようではいけません。一時的に治安を保てたかのように見えたとしても、実は不満が深く溜まっているだけであって、いずれ一氣に革命的な暴動が起きるかもしれません。
国の病も、人の病も、治すための心得は共通しています。(続く)