其の百四十 カミ(神)は生命に内在し、働きや作用を起こしている…

メガネはどこいった? あちこち心当たりを探してみるが見つからない…。
一体どこで無くしたのだろうと考え込み、思わず手を頭に当てたらメガネはそこ(頭)にあった、なんていう笑い話を幼少の頃テレビで観た記憶があります。大切なものは、自分自身に備わっているという例え話です。

「求めてはならない。真理(神)も幸福も健康も、すべて自己の中に内在するのである。

我を離れた神が我を救うと思うのが、迷いである。神(自然、生命)は自存の法則である。(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房p.114.)

自分と離れたところばかり探しているから、いつまで経っても大切な事を発見出来ないのです。外ばかり見ていないで、もっと自己と向き合えば、真理としての神も、幸福も、健康も、「すべて自己の中に内在する」という事実に氣付けるというのです。

つい我々は、何かにすがり付きたくなります。自分自身を努力によって変えようとせず、幸福は誰かがくれるはず、禍(わざわい)は護符さえあれば守ってくれるはず、健康は特効薬でも飲めば回復するはず、などといつも他を頼っています。そのままでは、間違った他力信仰のまま、一生を終えてしまうことになるでしょう。

「生命即神」こそ、沖正弘先生の教えの核心です。イノチがそのまま神であり、自分も生命である以上、神にほかならないと。

神(かみ)は大和言葉です。「か」は陰、隠れる、霞む、風などの「か」で奥深さを、「み」は実や身、水(みづ)の「み」で本質や実質を意味しています。まさにカミ(神)は、奥深い本質として生命に内在し、働きや作用を起こしている本源(自存の法則)なのです。

その働きや作用は、自然にも内在しております。松下幸之助翁は、それを「自然知」と呼んでいました。

それなのに私たちは、自分の外に自分を救ってくれる神がいて、ちょっと頼めば何でもしてくれると、つい虫の良いことを考えてしまいます。それが「迷い」です。(続く)