其の百二十八 欠伸(あくび)は、神経をシャキッとさせる上で、とても有効な呼吸!

学生時代に西洋医学の科目である生理学を学んだとき、呼吸の項目に「変態呼吸」というのがあって、笑いや欠伸(あくび)がその例に挙げられていました。笑いは祓いの効果もあって健康に良いのですが、西洋医学では単なる変態呼吸に入っているということに驚きました。「それだけなの?」と、ガッカリしたのです。

欠伸は、神経をシャキッとさせる上で、とても有効な呼吸です。欠伸呼吸について、沖正弘導師は次のように述べています。

「疲れた時や、頭のはっきりしないときにでるアクビは、吐く息に力のはいった呼吸法にかなっているから、神経を覚醒し、また心身を安定させるに効果のあるものである。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房p.102.)

人前でうっかり欠伸すると、なんだかだらしない人のように思われそうですが、実は心身を安定させてくれる大切な呼吸です。「疲れた時や、頭のはっきりしないとき」は、むしろ積極的に欠伸をすることで、吐く息に力を入れて「神経を覚醒」させよというわけです。

神職の祝詞も、吐く息が長くて「長息」になっています。

「神道にも「息長」(オキナガ)の法というのがある。鎮魂帰神のときに、祝詞を唱えるあの長い息の発声法もまたプラナ・ヤマにかなったもので、神官にも健康で長寿者の多い原因はここにもあるのである。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房p.102.)

祝詞の発声は、丹田に力を込めながら、息を細く長く吐きます。それによって鎮魂帰神(魂を鎮めて神と一つになる)の状態となります。それがそのまま心を落ち着かせ、健康の元にもなっているという次第です。(続く)