自信を、どう付けるかという話の続きです。それには、自分に宿されている力を信ずることが大切であると述べました。
しかし、そうは言われても、自分に宿されている力が本当にあるのかどうか分からないし、あったとしても簡単には信じられません。すぐに信じられたら、誰も苦労しないでしょう。
そこで沖導師は、信仰を持てと教えます。
「次ぎに必要なことは信仰を持つことである。達人は消極念を信仰に代え、積極念化している。信仰とは自分の存在と絶対者的存在(宇宙・神)との一体感を持つことである。だから強いのである。この心境は
「われは神と共にある。われの考えることは神の要求したもうところのものである。それ故にわれの欲する所のものは必ず実現する。それはわれとともにある神は、常にわれを助け給い、守りたまい、必要なものは必ず与えたもうからである」
という強い信念と共にある。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房95頁)
信仰の対象は、絶対的存在と言うべき宇宙や神なのだそうです。宇宙とは「宇宙に働く根源力」のことであり、神とは「神と呼ばれる見えない働きや作用」のことでもあります。
東洋や日本の思想や信仰では、根源と人、神と人が結ばれるよう導きます。あるいは、本来一体であることを覚るよう教えます。
この自分は、常に根源力とつながっている、見えない世界の力をいただいている。だから、何も心配することは無いという信念が積み重なって信仰と化すのです。
それが、天人合一や神人合一、あるいはインド思想の梵我一如(宇宙の真理が梵、真実の自分が我)という境地です。
邪心や我欲を超えて無欲・無我となり、まさに天人合一となれば、自分の素直な考えは、そのまま神の要求となり、「われの欲する所ものは必ず実現する」という強固な信念に至ることになります。
そして、「欲する所のものは必ず実現」し、自分は大宇宙の根源としての神と一体なのだから、そのまま神は我を助けてくださり、お守りくださり、必要なものを必要なときに与えてくださるということになる次第です。(続く)