目的を成就させるための心得について、沖導師の教えが続きます。
「まず自分の目的が合理的であるかどうか、実力の線に沿っているかどうかを検討して、不合理なものや、実力の伴わない欲求は空想であるから改めなければならない。更に自分の生活と努力がこの方向に向いているかどうかを考慮して反省し是正しながら努力を続けるべきである。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房91頁)
「目的が合理的であるかどうか」。これは、やろうとする事が「理」に適っているかどうかという問い掛けです。時代(の要請)に合っているかどうか、環境(取り組む場)が人生全体から観て相応しいかどうか、目的に合わせて仲間(同志)や相手(対象にしたい客層等)を選んでいるかどうかを熟考せよということでしょう。
時代後れ、またはあまりにも先取りし過ぎであり、環境が場違いであり、関わる人々が目的とずれていたりすれば、いくら努力してもムダとムラが多くなって結果を生まないのは当然のことです。
「実力の線に沿っているかどうか」。これは、自分の実力に応じた手段や手法を選択しているかどうかという問い掛けです。いきなり上級レベルでやろうとしても、実力が伴っていなければ自滅するだけです。常に自分の実力をはかりつつ、過大評価も過小評価もすることなく、現在の力で勝てる(成果を出せる)取り組み方を選ぶべきでしょう。
そうして、「不合理なものや、実力の伴わない欲求は空想」として退ける冷静さが必須となります。
また、「自分の生活と努力がこの方向に向いているかどうかを考慮して反省し是正しながら努力を続けるべきである」と。日常生活には、目的に向かう前向きな事ばかりでなく、志に重ならない努力を強いられ、後ろ向きのエネルギーを取られる事が多いものです。
なかなか日常の「生活と努力」が、ほぼ百%目的や志に適っているという人は極めて少ないでしょう。いろいろな用事を思い切って調整し、たとえオイシイ事でも捨てるべきは捨て、自分でやりきりたくても任せられる事は任せることで、少しずつ生活イコール「目的成就の体制」となるよう意志を強く持って努力を重ねるしかないのだと思います。(続く)