何事も、初心者としての取り組みは本当に大変です。分からない事や戸惑う事に苦労して不安だらけですが、その不慣れなときの体験や経験は、その後の人生にとって「一つの自信」や「大切な支え」となってまいります。
沖導師の言葉です。「苦労したり、行きづまりにもがいたり、それを打開しようと努力したりしている間におのずから、できあがっていくものが自信である。この自信のもとに更にひたすら進む時、理論や技術を超えた『何か』が見えてくる。この『何か』こそがすべての道の奥に通じているもので、これを宇宙の真理というのであって、この『何か』はすべての道の奥に共通して存在しているものなのである。だからこそ、一道の達人は他道の達人と通じるものがあるのである。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房64頁)
いかなる事であれ、いきなり出来たり、すぐに上手くということは殆どありません。最初の内は、なかなか上手く出来なくて苦労し、もがき悩むものの、それでも何とか諦めないで努力し知恵を使って工夫していくうちに、次第にコツが身に付いてきて自信を持てるようになるのです。
さらに、その先へ進むと「何か」が見えてきます。それが「道の奥」に存在する奥義や極意でしょう。そして、そこまで行けば他の分野の奥義や極意に通じ、「宇宙の真理」ともつながるとのことです。
諸芸や諸能、何かの技術や学問など、あらゆる分野に「道の奥」があるので、それぞれ○○道と呼ばれてきたわけです。武道、華道、茶道、香道、仏道などがそうであり、道においては先へ進めば進むほど、まだその先があるということに気付かされ、越えていくべき山の高さに圧倒されもします。(続く)