現代科学の基本は、シンプルロケイションにある。研究の「対象」と「場」を、可能な限り部分化・単純化・局在化・専門化していく。
研究にあたっては、常に根拠を求め、それを物的な証拠から見出し、数値で表せる客観性(データ)を重んじ、(条件が一緒なら同じ結果が出るという)再現性を強く求めていくことになる。
だから、どうしても全体よりは部分、複雑な系ではなく単純な系、綜合性よりも専門性を重視することになる。「複雑な全体を大系的に把握する」といった巨大且つ綜合的な研究があれば、あまりにも雑駁(ざっぱく)過ぎて、そもそも研究とは呼べない代物(しろもの)と見なされてしまうのである。※「代物」評価を受ける物や人のこと
また、綜合的な研究には先行研究者がいないのが普通で、先導・指導してくれる先達が見当たらない。大計的な全体構想能力自体が特異な資質であり、その能力を発揮すればするほど研究者は孤独に陥っていく。
彼は明らかに天才であり、一般の研究者の手に負える相手ではない。全体構想者が天才であれば、部分を掘り下げていく通常の研究者は秀才ということになるだろう。
前者に相当する三上照夫氏は、そういう理由によって無視され、評価の対象外とされ、世に知られずに終わったのだと思われる。その点では、河戸博詞先生も同様である。
さて、国民一人一人が高い霊性を養うべきであると先に述べた。その先頭にお立ちになっているのが天皇陛下である。宮崎貞行氏は『天皇の国師 賢者三上照夫と日本の使命』の中で次のように述べている。
「陛下は、「明けても暮れても、日本人の仕合わせと、世界の平和をお祈りになっている」のである。寒い元旦早朝の四方拝、歳旦祭に始まり、豊作を祈る祈年祭、作物に感謝する新嘗祭など主要な祭典だけでも年間二十以上あり、それに毎月の旬祭もお勤めになるから、平均すると、月三回以上御拝されていることになる。」※「旬祭」…毎月3回のお祭り
(2018宮崎貞行『天皇の国師 賢者三上照夫と日本の使命』きれい・ねっとpp.24-25.)
世間一般には、天皇陛下が沢山の宮中祭祀をお勤めになっていることが知られていない。
祭祀は、皇居の中にある宮中三殿で行われる。宮中三殿とは、皇居吹上御苑に鎮座する賢所(かしこどころ)、皇霊殿(こうれいでん)、神殿(しんでん)の総称だ。
宮内庁ホームページには、下記のように三殿について説明されている。
「賢所 皇祖天照大御神がまつられています。
皇霊殿 歴代天皇・皇族の御霊がまつられており、崩御・薨去の1年後に合祀されます。
神殿 国中の神々がまつられています。」
この「天皇のまつり」を知るというところに、国民精神覚醒の入り口があるだろう。(続く)