どちらか一方に決められない状況を表す言葉に「究極の選択」があり、それには二つのタイプがあるようです。
その一つは、二つの選択肢があって、どちらにもメリットがあるので一方に決められない場合です。AとB、どちらも魅力的で捨て難いために迷っている状態です。
もう一つは、二つの選択肢の、どちらにもデメリットがあるので一方に決められない場合です。AとB、どちらを選んでも損を被ることになることから動けなくなっている状態です。
これら二つの状況には、予想されるその後の流れに共通点があります。それは、どちらにも決められないままでいると、とうとうAとBの両方を失うだろうということです。
結局、人生には決断が重要であり、ぐずぐずしているのが一番いけないというわけです。
《徒然草:第百八十八段》其の三
「たとえば碁をうつ人が、一手(ひとて)もいい加減にせず、相手に先立って少ない石を捨てて多い石を取るようなものだ。それについて、三つの石を捨てて、十の石を取ることは容易だ。
しかし、十の石を捨てて、十一の石を取ることは困難である。一つでも勝っているほうを取るべきとはいえ、十まで出来ていれば(捨てるのが)惜しくなって、多く勝っているわけではないほうの石に換えることは難しい。
これも捨てず、あれも取ろうと思う心に、あれも得ず、これも失ってしまう理由があるのだ。」
※原文のキーワード
いい加減…「いたづら」、相手…「人」、少ない石…「小」、多い石…「大」、取る…「つく」、それについて…「それにとりて」、出来ていれば…「なりぬれば」、理由…「道」(続く)