其の九十 苦しい事や嫌な事、忘れたい事の中に、人生の原点(種)が潜んでいる?!

自分が取り組んでいる事を一つにまとめ、融合と安定を起こすために行うのが一束統合です。その別法に、時間軸による「一本統合」があります。これは、これからの人生を長期・中期・短期に分けた後、それらを一本に繋(つな)げていく手法です。

それを串団子(くしだんご)に例えてみます。3個の団子があり、それぞれ長期・中期・短期を意味するとしましょう。長期は人生を賭けて取り組んでいく大目標、短期はこの1年間ほどの間に実行する小目標、中期は長期と短期を結ぶ中目標(3年間~5年間くらい)です。

3つの団子は、個々バラバラでは串団子になりません。これらをきちんと重ね、一本の串を通してこそ完成となります。

串は何かというと、将来に向かって心が指し示すところの「志」とお考えください。指し示すの「指す」と串を「刺す」。どちらも「さす」で言葉が通じています。

この志という串で、長期・中期・短期の3個の団子を一つに重ね繋げるのです。そうすれば、今目の前で取り組んでいる事(短期)と、人生を賭けて達成させていく事(長期)と、その中間にあたる事(中期)が結ばれて人生がぶれにくくなります。

無論、人生にはいろいろな出来事があり、必ずしも想定した通りに計画が進むばかりではなりません。むしろ、回り道や脇道、しばらく休息せざるを得ない寄り道のほうが多いとも言えます。でも、3つの団子が串で貫かれているなら、決して志を失うことなく、何があっても困難を乗り越えて前に向かえるはずです。

それから、串の根もとには「原点」があるとお考えください。原点とは、何のため、誰のため、なぜそれをやろうと思ったのかという素志(そし)です。全てはそこから起こされていくという、人生の「種」にあたるものが原点なのです。

人生の原点(種)は、明るく希望に満ちた事ばかりではありません。大失敗や大病が原点になるかも知れませんし、誰からも相手にされない孤独感や、他人には理解されないコンプレックス、自分なんて価値が無いと思う劣等感なども種になる可能性があります。

そのまま勇気が湧いてくる事よりも、むしろ苦しい事や嫌な事、本当は忘れたい事などの中に、我が人生の原点に据えるべき種が潜んでいる場合があるというわけです。(続く)