其の八十九 いくつか取り組んでいる事柄を、一つの短い「言葉」でまとめてみる

知が文明論、情が大和言葉、意が東洋思想や武士道。筆者の三種の講義内容を、こうして知情意で括り、さらに「綜學」という名称で「一束統合」したところまで述べました。

一束統合を行う際の要領ですが、いくつか取り組んでいる事柄を、一つの短い「言葉」でまとめてみると上手くいきます。言葉でまとめるというのは、共通点でまとめるということであり、意味でまとめるということでもあります。

例えば会社の主たる仕事が、保険と配送とリフォームという、一見バラバラに見える業務であった場合を考えてみます。これら三種には、「暮らし」「安心」「つなぐ」といった共通の意味があります。そこで、会社の経営理念(存在意義)を「暮らしと安心をつなぐ」というふうに一言で一束統合してみるのです。

あるいは、経営する料理店の特徴(売り)に和食・お酒・邦楽・備前焼・日本画などがあるとすれば、これらをお店のコンセプトとして「日本の五感」といった言葉で一束統合します。そうして、その「日本の五感」による味わいを、さらに第六感(直観や霊感)につなげていただくことでお客様の満足度を高めます(※五感~味覚・嗅覚・聴覚・触覚・視覚)。この他、「環境」「循環」「調和」「安全」、あるいは「人間」「元氣」「復活」などの言葉も、一言による一束統合に生かし易い用語だと思います。

それから、一束統合した事柄や言葉が「天命と言える第一の事」としてまとまっているかどうかもチェックしましょう。

筆者の場合、「綜學によって日本改新の志士・志民を育成し、新しい日本の社会秩序の誕生を導くと共に、亜細亜から人類進化の共生文明を創造する」というのが「天命と言える第一の事」です。そうして、21世紀の人類の危機を、東洋日本思想によって王道政治を起こしつつ救済していくわけですから、文明論も大和言葉も東洋思想も、そのための必須の学問として一束統合されてまいります。それが、綜學という綜合学問です。

このようにして天命でまとめていけば、これはこれで「人生の主」であるということから、兼好法師のお叱りは無いだろうと期待するところです。そしてもう一つ、時間軸の「一本統合」というものがあります。(続く)