一人一人の人間は、それぞれ長所を有し、立派なところを持っています。
しかし、世の中に生きている所謂「世間の人々」というものは、想像以上に人間として小さいところがあります。それほど「引き出し」を多く持っていないし、「器」を超えたら、もうそれ以上受け付けない狭さがあります。また、大袈裟なウソが好きで、デマに騙され易いのです。
コロナ禍のとき、「マスク警察」をはじめ、隣県ナンバーの車が嫌がらせを受けたり、息子や娘が都会から帰省すれば村八分扱いを受けたりするなど、今振り返れば、何と日本人は人間が小さいのだろうと嘆きたくなる現象が多々生じました。
さて、2025年、いよいよ文明交代期中の最激変期(2025~2050頃)に突入しました。西洋文明は「死亡の形」(村山節先生)となり、東洋文明は勢いを増しますが、文明交代期特有の膨張帝国が現れ、それまで続いた旧文明にトドメが刺されるときでもあります。
膨張帝国としては、チャイナやロシアが要注意でしょう。北朝鮮やイランも、紛争の引き金国家として無視出来ません。また、ウクライナからコーカサスにかけての地域は、過去2回ほどヨーロッパへ向かう民族移動の震源地となっており、やはり要注意です。
こうして、これから我々は激動の世界に生きることになります。今からしっかり器を大きくする勉強をしておかないと、ウソやデマに振り回されるだけの人生で終わりかねません。そこに、フィルターバブルやエコーチェンバーが重なったら、もう救われ難い事態に陥ります。今こそ、ブレない、めげない、惑わされないための「しなやかさ」が欲しいのです。
そこで、善悪二元論から脱出したいと思うのです。善いか悪いか、正しいか間違いか、可か不可か、といった課題に対して、単に一方のみ選んで他は捨てるというのではなく、その中間も意識しながら「落とし所」を見極めていく、眼力と余裕を持つべきだと考えます。
この世に完璧な賢者はおりませんし、善い事のみ語り、正しい事のみ行って人生を終えるような聖人もいません。人間であれ物事であれ、真実は「中間のどこか」に存在するものです。だから、善悪二元論ではなく、中間を観察しての善悪観・正誤観を養いたいのです。
即ち「陰中陽有り、陽中陰有り」の如く、善の中に悪があり、悪の中にも善があるのが真実です。そうした立体的・動的な見方で人間を観ていきませんと、人も自分も救われません。しかも、善悪は「そのときの勢い」というものに左右され易く、迷いの元ともなりますから要注意です。固定的に観ることなく、柔軟に善悪を判定する識見が求められます。
とにかく、骨太な信念や価値観を養って、風評や伝聞に惑わされないよう心掛け、常に一次資料(一次情報)にあたり、自分で根拠を調べ、信頼出来る情報源を持つことが肝要です。相手から見て、自分自身が信頼される一次情報源となることも忘れてはなりません。
それから、事を起こすにあたって大局に立ち、全体を観るのです。そのために原点をよく考察し、原点からの広がりを捉えておいてください。原点は「そもそも」に続く言葉を考えれば浮かびます。次に、核心を掴みましょう。問題の根っ子や、解決のためのツボやキーパーソンを見付けるのです。
その上で、陰極陽転・陽極陰転の流れを読めば万全です!
もう一言!良い意味で選り好みしながら、馬の合う良識派を同志や仲間に集めることです。
(政経倶楽部 日本政経連合総研 総研レポート第92号より)