こんばんは。本日は八十八夜です。夏も近づく八十八夜と言いますが、晴れたわりには涼しい日でした。
◆小生は、4月に高野山大学大学院に入学しました。文学研究科 修士課程密教学専攻です。
通信課程なので、ひたすら教本や参考文献を読みまくり、科目ごとにレポートを書き、科目最終試験に臨みます。
1年目の今年度は、6科目16単位の取得が目標です。レポート16本、科目最終試験(論文)6本で、計7万字以上の執筆となります。
教本は大学院から送られてきますが、参考文献は自分で確保します。それらが次第に整い、4月末から読書が始まりました。
正直言って難解な内容が多くて大変です。でも、だんだん“密教脳”になっていき、分かってくるだろうと思います。
●評論・随筆●
☆ウクライナを震源地とする民族移動によって、ヨーロッパ文明が終末を迎える?!
世界文明は東西に分かれ、800年毎に周期交代する。21世紀は東西文明の交代期であり、2025年頃~2050年頃が最激変期となる。これを80数年前に予測した市井の文明評論家が文明法則史学の創始者である村山節先生だ。
そのご著書の一つに47年前に出版された『文明の研究』六法出版社(絶版)があり、ウクライナを震源地として発生する民族移動によって、ヨーロッパ文明が終末を迎えるという未来予測が示されていた。
文明交代期である21世紀に、世界的な気象異変と食糧不足が起こり、民族大移動が発生する。膨張資本主義は終焉のときを迎え、欧米主導の価値観は脆くも崩れ、旧文明は崩壊のときを迎える。人類は今、存亡の危機に直面しているというのが文明法則史学の見解だ。
同書の252頁には「ヨーロッパ文明の終末に文明地帯をおそう民族運動は大抵ウクライナ、コーカサス方面を震源地としていた」と記され、3200年前の文明交代期にエーゲ海文明が亡びたときも、1600年前の文明交代期にローマ帝国文明が終わったときも、いずれもウクライナ方面が民族移動の震源地であったことを明記している。
ベルリンの壁崩壊(1989)やソ連の崩壊(1991)によって、ロシアからの危機の発生は、もはや杞憂であると思えたが、とうとうロシアによるウクライナ侵攻が発生(2月24日)し、今またウクライナ方面からの民族移動が心配になってきた。既に500万人以上の人々が国外脱出している。では今後、この侵攻が世界に対してどんな影響を与えるのか。
ロシアとウクライナは世界有数の農産物輸出国だが、侵攻で生産減となり世界的な食糧難が心配されている。小麦やトウモロコシは、既に20%前後の値上り。ロシアは天然ガスや石油の有力な生産国であり、これらの価格も上昇している。そうして食糧やエネルギーが値上がりすれば、他の商品価格も上昇し、世界全体をインフレと景気低迷が襲う。
そこで、先進国はインフレ退治のために金融引き締めを行う。金融引き締めで金利の引き上げが促され、新興国マネーは金利の高くなった先進国に流出する。それが新興国に打撃を与えて通貨安となり、外貨建て債務の負担が増す。
その結果、債務不履行が懸念されるとのこと。膨張資本主義の下、世界は経済活動で相互依存関係を深めてきたものの、一旦大きな危機が訪れたら、それぞれ自国を守ることに躍起とならざるを得ないのだ。
村山先生は気象異変によって食糧危機が発生し、飢えた民族群が「ある年、突如としてダニューブ河(ドナウ川)の北なるウクライナからロシアの草原から」(同272頁)民族大移動を起こすことを憂慮されていた。
それに対して「米軍と同盟して核兵器を所有するヨーロッパ連合軍の反撃でスラブの侵略は相互の大量殺人戦となる。ヨーロッパ社会は内部的に大混乱におち入り、悲劇的な暗黒の大混乱が全ヨーロッパを支配する」(同272頁)とも。
気象異変だが、寒冷化ばかりでなく温暖化にも注意が要る。豪雨洪水によって住まいを奪われた難民の増加が、世界各地で増えている。これも民族大移動の要因に含まれよう。
ここでいうスラブ対欧米は、今のロシア対NATOのことだ。ロシアの侵攻による緊張は北欧に波及し、フィンランドやスウェーデンのNATO加盟が進もうともしている。
それに対してかプーチン大統領は新型ICBMを試射。文明交代期の異常心理は、誰も望んでいないはずの核使用すら引き起こしかねない。今こそ、しっかりと世界を全体的に観、核心を掴み、流れを読まねばならぬ。
(総研レポート第60号 令和4年4月25日)