採用や抜擢の際、相手のどこを観るべきか…

こんばんは。令和三年も、間もなく一年の折り返し時点に到達ですね!
明日は国会綜學勉強会で講義します(オンライン)。

◆『古事記』の語り部「言本師」が10名誕生しました!
ご紹介をはじめましたので、是非ともご覧くださいませ(現在3名アップ)。
www.facebook.com/sougakusya.kataribekyoukai

◆日記(6月26日~27日)
・26日(土)林塾「政治家天命講座」第16期・水無月例会初日の講義
小田原駅ではアテンド担当者らが、とびっきりのあったかさで塾長を迎えてくれる。ああ、嬉しい…。
会場に行く前に、藤沢市辻堂のホテルにチェックインしたところ、窓から「江ノ島が見えてきた~(サザン)」。さあ、顔晴るぞ!

講義は、文明法則史学の日本編として下記の内容を話す(3時間)。
・前回(文明法則史学・世界遍)の簡単な復習
・SS(社会秩序)とは何か、その基本パターンと文化型
・過渡期(SSとSSの谷間)の構造と、一時出現する覇者の役割
・弥生時代を「大和草創期」と呼ぶべき理由
・上古大和SS・古代律令SS・中世武家SS・近世武家SSの特徴
・近代短期SS&戦後準SSに見る社会心理の推移
・明治維新以来、150年を超える時間の中で溜まってしまった5つの歪み
・各SSで築造された創造的土木建設物は、今度の新日本SSでは何か?
・SS成立の条件、並びにSSが誕生するときの要件 他

・27日(日)林塾「政治家天命講座」第16期・水無月例会二日目の講義3時間
言葉の意義、言語政策の重要性、国語の特徴、大和言葉とは、言霊と言葉神 他

終了後、林塾の弟子たち10名と松下政経塾を訪問し、根源社にお参り。
根源とは大宇宙生成発展の大元のことであり、古事記ならば天之御中主神(アマノミナカヌシの神)にあたる。アマは宇宙、ミナカは本源的な中心、ヌシは司ることで、アマノミナカヌシで大宇宙の生成発展の根源となる。
松下翁は、根源様と自分を繋げながら、経営と活動に取り組まれた。その根源社が一昨年、松下政経塾にも建立され、本日お参り出来た次第。

【ご案内】経世志塾8月例会 8月4日(水)18:00~20:45
孫子の兵法・第3回 ※今回もオンラインの場合は初回参加無料!
会場:お茶の水エデュケーションセンター
東京都文京区湯島1-6-1 TONEGAWA 2ビル 5F御茶ノ水駅より徒歩約6分
詳細はコチラ→ ex-pa.jp/item/34914

評論・随筆

採用や抜擢の際、相手のどこを観るべきか…

経営者の苦労の過半が人事の悩みにある。誰を採用し役職に就けるか。人は長所と短所が糾(あざな)う存在だから、良いところがあれば悪いところもあって本当に迷いは尽きぬ。

コロナ禍によって、組織の内外に人の移動が生じている。そこで、部下の中から誰を昇進させたらいいのか。また、中途採用で即戦力の高い人財を引き入れるときに、誰を選んだらいいのか。その辺のヒントが欲しいという質問を、最近二、三の経営者から受けた。

この「さあ前に向かうぞ」とか「やっと元に戻れるぞ」というときの注意だが、それはトラブルメーカーになるような者を抜擢してはいけないということに尽きる。

シナ唯一の女帝である則天武后の撰による『臣軌』という本に、「智恵はあるものの私心が強いという人よりも、愚直だが公心を持っているという者のほうが良い」と書かれている。頭はいいが自分勝手、覇気があって能力も高いが自己中心というタイプに要注意というわけで、昔も今も、このタイプに多くの指導者や経営者が翻弄されてきた。

どうやら、あの西郷隆盛も苦労したらしく「どれほど功績があっても、地位を与えることで報いてはいけない。その立場に向かない人を就けてしまうのは、善からぬことの第一なり。賞するなら俸禄でせよ」と説いている(西郷南洲翁遺訓:意訳林)。

また、松下幸之助翁も「平凡な人は、会社を興しもしないが潰しもしない。賢い人は、一面希望が持てるが、一面非常に危険。賢い人は私が出てしまい、独断専行をやるからうまくいかなくなる」(「松下幸之助研究」PHP総合研究所2002春季号62~63頁から要約)と述べている。西郷さんも松下さんも、同様の悩みを抱えていたのだ。

では、どうするか。抜擢や中途採用の際に、相手のどこを観察するかというポイントがある。それは、目下や年下、地位が下の者、あるいは動きの鈍い老人などに対して、どんな態度を取るかだ。尊大な態度を取り、物言いが横柄、思い遣りに欠けるといった場合、かなりの確率でトラブルメーカーとなる可能性がある。鈍くて、もたつく相手に我慢ならず、自分の思い通りにならないと、直ちに切れてしまうといったタイプがそれである。

会社や活動で、そもそも人が集まって事を進めるのは、個々バラバラでやるよりも組織で仕事をしたほうが、成果がはるかに高まるからだ。その「人の和」を創るときに、成果はまだまだだが性格が穏和で身勝手なところが少なく、小さな約束や決めた時間を守るという信頼度の高い者を、まず柱に据えるのが良い。それが『臣軌』の指摘であると思う。組織は、ある程度の抜擢が無いと活性化しないが、その枠組は公にして和のタイプで創れと。

私も失敗を経験した。昔ある人物に勉強会の発足を担って貰ったときのことだが、会計があまりにも杜撰(ずさん)で、講師料の振り込みを何ヶ月も忘れる一方、会のお金を私生活に流用するという有り様だった。思い起こせば、彼は下の者に対する態度が横柄だった。

それから、継続力の有無も重要なポイントとなる。採用の面接で「10年以上継続している事は何ですか?」などと聞いてみてはどうか。根気があれば任せられることになるのだ。(日本政経連合総研レポート第50号・6月25日)