芽を出せ、芽を出せ、新文明の種！

こんばんは。京都人の歴史への深い思い入れには、しばしば感動させられます。

京都の河原町通りと松原通の交差点の西北角に、「幸福堂」という老舗の菓子屋があります。そこの名物は、五条大橋の欄干（らんかん）の擬宝珠（ぎぼし）を模した最中で、餡の普通盛りが「牛若丸」、大盛りが「弁慶」と呼ばれています。

平安末の昔、五条大橋で牛若丸と弁慶が出会ったことにちなんだわけですが、実は五条大橋の位置は、当時と現在とではずれています。数百メートル北にある松原橋のあたりが、牛若・弁慶当時の五条大橋のあったところだそうです。

幸福堂は、その松原橋の西側で営んでおり、こちらが五条大橋の本家だというプライドで擬宝珠最中を製造しているのでしょう。お店の方が「秀吉さんが橋を移してしまはったんですよ」と、まるで昨日の出来事のように悔しそうに話しているのが印象的です。

◆日記（６月２日～８日）
・２日（水）東京・経世志塾でハイブリッド講義～孫子の兵法・第２回
・３日（木）政経倶楽部連合会・東京支部例会（山田宏講師）に参加しスピーチ
・５日（土）名古屋綜學院で講義～勝つための教えとしての「徒然草」後編
・６日（日）京都綜學院で講義～文明法則史学の復習と１万２千年日本文明史
・７日（月）泉涌寺参拝。神戸・今啓林会で講義～日本の情勢、論語、孫子
・８日（火）京都綜學社研修所の一階を大掃除

【ご案内】
☆「東京綜學院　林ゼミ」第１期・６月例会
日時：６月１２日（土）午前１０時～午後４時
演題：大和言葉・思想編～言葉は思想なり！　マコト、カムナカラ、ムスヒ　他
会場：虎ノ門ホール（東京・西新橋）
詳細はこちらから↓
peraichi.com/landing_pages/view/nagoyasougakuin/

★絵本『やまとことば神話』のイラストレーター白川一郎画伯と林英臣が
オンラインで対談します！皆様、奮ってご参加くださいませ。
日時：６月１５日（火）午後７時～８時半
my-site-100872-100666.square.site/

☆関西林英臣勉強会　第５期（年４回開催）会場は難波神社（大阪）
年間テーマ「東洋思想と帝王学」この学びによって、貴君も志士人物となる！
第２回　６月１９日(土)午後２時～５時
グッとくる名臣たちの生き様から、感動のシャワーを浴びよ！
『宋名臣言行録』明治天皇が御愛読。宋代はシナ史上最も人材が輩出した時代
厳しい時代に登場した気節の士たちの言動から、指導者の在り方を学ぶ
参加費：年間お申込の方１万２千円（大学生８０００円、高校生以下無料）
各講座３５００円（大学生２０００円、高校生以下無料）
お問合わせ：まず下記へメールを下さい。主催者からご連絡致します。
info@hamanoyukiko.com　（浜野夕希子塾祐、林塾第５期生）

評論・随筆

芽を出せ、芽を出せ、新文明の種！

「お客様に快いゆとりを味わって頂くことを第一と心がけ、庶民性の中に上品さと、そして見栄をはらず、欲をはらず」

この誇り高き精神は、東京の老舗菓子匠「梅花亭」のモットーである（菓子箱の栞より）。創業は嘉永三年（１８５０）。その三年後にペリーの黒船が浦賀にやって来る。日本中が大騒ぎになる頃に創業したのだから相当な苦労があったものと思われるが、創業者は前向きに「亜墨利加饅頭（あめりかまんじゅう）」
なるものを考案している。この菓子は栗饅頭の祖と称えられており、梅花亭の歴史的銘菓となった。

他に、洋菓子の技術を生かした「仏蘭西饅頭（ふらんすまんじゅう）」や、大隈重信公の「和菓子も進歩せよ」という命で創作した「三笠山」、桃山城の瓦を型どった明治期の秀作「桃山」など、歴史を感じる銘菓が揃っている。見た目は木訥だが、どれも美味しい！

そういえば、林が好きな薄皮饅頭の柏屋も嘉永年間の創業であった（嘉永五年・１８５２）。梅花亭も柏屋も変革期に創業している。困難な時代には違いないが、知恵を持ち努力を厭わない者にとっては、むしろチャンスの時となる。東西文明交代の最激変期（２０２５～２０５０）に入ろうとする今も、実は新しい事を起こすチャンスなのだ。

激動の大風によって腐った大木が倒れても、新芽がいろいろ出て来る。
芽を出せ、芽を出せ、新文明の種！（６月４日）