5 帝国主義撲滅運動と日本(ていこくしゅぎぼくめつうんどうとにほん)
今日の世界の不安は、言うまでもなく帝国主義が根底にあります。世界平和を念願する者ならば、誰でも帝国主義的な侵略を不快に思うところです。ならば、一体誰が帝国主義を排除し、これを正してくれるのでしょうか。
5 帝国主義撲滅運動と日本(ていこくしゅぎぼくめつうんどうとにほん)
今日の世界の不安は、言うまでもなく帝国主義が根底にあります。世界平和を念願する者ならば、誰でも帝国主義的な侵略を不快に思うところです。ならば、一体誰が帝国主義を排除し、これを正してくれるのでしょうか。
日本人よ、もっと稽古しましょう。まだまだ稽古が足りません。
稽古とは、古(いにしえ)を稽(かんが)えることです。原点に帰り、基本を繰り返すことを稽古といいます。稽古をしっかりやってこそ、新しい創造が起こります。
次にロシアはどうでしょうか。ロシア帝国(ロマノフ朝)は、すでに崩壊しました。しかし、露国の侵略主義は、ますます旺盛になっています。各地に大計画が進められ、中央アジアを支配し、外蒙古(現在のモンゴル国に相当)も圏内に入ってきました。さらに全支那を赤化(共産主義化)して東洋を攪乱(かくらん)し、やがてロシア人の手によって統一しようとしています。
英国は帝国主義の本場ですから、その実行は、いつも世界の先を歩んできました。そして、世界大戦(第一次)で英国の帝国主義はいよいよ完成し、全地球の四分の一を越える領土を占有するに至りました。それにも関わらず、今も武器を納めません。アイルランドはもちろんのこと、インド、エジプト、メソポタミア(イラク)などに軍隊を出し、しきりに攻略を進めています。
帝国と帝国主義の違いが分からないのは日本人ばかりではありません。支那人(チャイナの人)も間違っています。広東(かんとん)の国民党軍は「帝国主義の撲滅のために立て」と盛んに宣伝していますが、その一方でロシアの大帝国主義とは協力しています。ロシアは革命によって共和国になったから、もう帝国主義ではないとでも思っているのでしょうか。それとも、分かっていながらロシアを利用しようとしているのでしょうか。いずれにせよ、真の帝国に住む日本人まで迷うようなことがあってはなりません。
4 帝国主義と大日本主義
最高の学校を卒業した有為(ゆうい、有能で役に立つこと)の青年が、ある日私を訪ねてきて「先生、日本の帝国主義はいけませんね」と言いました。これには本当に驚かされたので、私から逆に「日本に帝国主義があるのですか」と質問してみました。青年は「日本は帝国主義の国です。帝国主義のよくないことは、世界の常識ではありませんか」と、いかにも物知り顔で答えました。
ここで一言付け加えたいことがあります。それは、天皇の崩御(ほうぎょ)は、国に殉ずるという「殉国」であらせられるということです。
我が国における天皇の御位(みくらい)は、権利としての立場ではありません。そのお役目は、誠に尊い義務であり、最高最大の奉仕であると拝察します。
これは我が子からの手紙です。そのとき私は支那の大連に滞在しておりました。
日本の紀元年数を知らない我が子に悲しい思いをしていた私は、この手紙を受け取って心から嬉し泣きしました。
もしも次第に国民性が薄れていき、遂に消滅してしまえば、そのときこそ国家が滅亡するときとなります。思いますに、国家の滅亡とは国が消えてなくなることではなく、その国民性が失われることです。そこで我々は、日本人の国民性の特質を揺り起こして養うため、常に最善の努力を捧げねばなりません。
3 個性と国民性(こせいとこくみんせい)
個人の持つ全能力を発揮している人は、必ず天性を生かしています。天性とは、天賦(てんぷ)の個性のことです。
天性を否定してしまえば、個人は滅亡に至ります。教育の意義は一人ひとりの個性を伸ばすところにあるのですが、もしも個性を誤解して破壊するようなことがあれば、教育は殺人行為ともなってしまいます。