そのときの心理状態によって、呼吸の型が変わるのだそうです。
安心したとき→吐く息に力が入る。
失敗したり、恐れたりしたとき→吸う息に力が入る。
満足したとき→熱い息となる。
不愉快なとき→冷たい息となる。
では、どうすればいいかというと、氣を落ち着かせるためには→深くて静かな息をすればいいとのことです。
「人の心理状態は、その人の呼吸のしかた(型となって現われている)を見れば知ることができる。
例えば安心した時は、「ホッ」とした吐く息に力のはいった呼吸型である。
失敗したり、恐れたりした時の息は、吸う息に力のはいった「ハッ」とした呼吸型である。満足した時には熱い息をしており、不愉快なときには冷たい息をしている。気を落ち着けるためには深い静かな息をするように心掛けると、自然に心が鎮ってくる。腹が立っている時には浅く荒い呼吸型をしている。」(1960沖正弘『ヨガ行法と哲学』霞ヶ関書房p.105.)
ここで沖正弘導師は、心理や意識の状態は、呼吸によってコントロール出来るということを教えようとされています。
つまり、ホッとする呼吸を、深く静かに行いなさいと。吐く息に力を入れ、それを長くすれば、落ち着いて満足した氣分になってくるというのです。
満足したときの熱い息、不愉快なときの冷たい息。これらは、実際に温度計で測定した結果ではなく、息に“喜氣(きき)”がこもっているか、逆に“悲氣(ひき)や嫌氣(けんき)”がこもっているかの違いを、熱と冷で表現したのでしょう。熱い息は「プラスの念子」が、冷たい息は「マイナスの念子」が現れている様子のことであると考えられます。
日常のいろいろな事に煩(わずら)わされていると、呼吸は浅く乱れる一方となります。自分の心をかき乱して止まない「嫌な出来事」を乗り越えていくためにも、まず呼吸から落ち着けていくべきですね。とにかく、長息が長生きです。(続く)