其の三十二 四観がその場その時に応じてよく機能する人は、人間としてとても魅力的

主観・客観・表観・裏観の四観による組み合わせは、(1)表観+主観、(2)表観+客観、(3)裏観+客観、(4)裏観+主観の四通りです。それぞれのタイプに、特徴や傾向があるということを述べました。

先述の通り、主観・客観・表観・裏観それぞれに長所と欠点があるように、(1)表観+主観、(2)表観+客観、(3)裏観+客観、(4)裏観+主観の四タイプそれぞれにも、特徴とともに陥り易い欠点があります。

(1) の表観+主観タイプは、見える世界を自分の意志でどんどん変えていこうとします。そのため、どうしても我が儘なワンマンになりがちです。人を思い通りに動かさないと気が済まず、自分のテンポについて来られない者を無能者として見下し、常に使えるか使えないかで人を判断する傾向があります。

(2) の表観+客観タイプは、人の至らなさやルーズさが目について仕方ありません。人のダメな点を許すことが出来ず、常に誰かに注意を与えようとしています。規則に外れた者を裁いてばかりいる“道徳小児病”がこのタイプに属し、自分にも人にも厳しくなる傾向があります。

(3) の裏観+客観タイプは、自分が取り組んでいる調査・研究に夢中になってばかりいます。まわりが見えず、主観的な感情に乏しいため、周囲の人たちとなかなか馴染めません。世間知らずな研究オタクになりがちです。

(4) の裏観+主観タイプは、自分の感性・感覚を信じ、物事の奥に潜む真理を掴もうとします。表面的な世間のしきたりに囚われず、目に見える地位や肩書きに惹かれることも殆どありません。世間一般の人たちとは価値観が違い、関心の対象も異なりますので、常に変わり者と思われがちです。また、自分にも人にも甘くなる傾向があります。

現実には、これら四タイプのどれか一つだけ持っているというのではなく、全てを具えているのが普通です。あくまで傾向として四タイプのどれを一番働かせているか、あるいはどれを伸ばせば天分をもっと生かせるかについて、じっくり考えるときのヒントにしてくだされば幸いです。

実際、政治家だけれども、法律や科学をよく理解している人がいます。宗教家だけれども、哲学への造詣が深いという人もいます。要はバランスであり、四観がその場その時に応じてよく機能する人は、人間としてとても魅力的であることは間違いありません。(続く)