其の二十七 スイッチがオンになっていれば、重要な閃きがふっと頭に浮かんでくる

「正姿勢」は文字通り正しい姿勢で、「全身のどこにも力が遍在していない、重心の安定している状態」のことです。正姿勢であれば、丹田を中心に全身が一体となり、余分な力、特に肩の力が抜けおります。

「丹田呼吸」は、腹部が「正しく交互に前後に動いて」おり、吸う息よりも吐く息のほうが長い、いわゆる腹式呼吸のことです。「深く静かな呼吸をリズミカルに行い、横隔膜が正しく交互に上下」いたします。

「集中された意識」は、「そのもの以外に何もない状態」とのことです。まさに対象と一つになった状態のことで、一心であるとともに無心でもあります。草取りや清掃も無心で行っていれば、すっかり没入し、その行為と自分が一体化します。一心になっている様子を「ゾーンに入っている」などと表現しますが、これも集中力が非情に高まっている状態のことでしょう。

また、意識を集中させる具体的な方法として、神棚や仏壇に向かい、御札や御本尊に対して心を集中し、祝詞や御経を上げてみるのも有効です。密教には曼荼羅という仏の集合図絵があり、それを見ながら精神を集中させていきます。曼荼羅は、まさに意識の集中のために用いるものです。

なお、集中や一心は、執着や固執ではありません。たとえれば受信機のスイッチが入っていて、周波数を合わせながら必要な情報を受け取っていくことでもあります。当然のこと、鮮明に音声や画像が入ってくることになります。

経営者であれば経営に関わるスイッチが、政治家であれば政治に関わるスイッチが、常にオンになっているものです。スイッチがオンになっていれば、何をしているときでも経営や政治における重要な閃きが、ふっと頭に浮かんだり、ストンと腹に落ちてきたりします。そうして、難局を乗り越えるためのヒントを「見えない世界」から受け、創意工夫のためのアイデアを天から授けられることになるというわけです。(続く)