其の二十四 古代の天皇は、霊格を磨き、神意を知りつつ政治に励まれていた…

昭和天皇のご進講役であった三上照夫氏は、また次のように語りました。

「「実は古代のスメラミコトは、祭祀と冥想を通じてこの神感型の霊格を開き、治世を行っていたんですよ。このことを後世に『神人不二』、『神人合一』と称したんです」(2018宮崎貞行『天皇の国師 賢者三上照夫と日本の使命』きれい・ねっとp.119.)

「神感」とは、見えない世界の声を聴き、これから先(将来)を見透すことです。古代の天皇は、祭祀をつとめ冥想を行われて、大局と核心、すなわち世の中全体とその将来を感覚し、国を治められました。それが、神人不二や神人合一という在り方です。

そして、天皇の神感を助けていたのが巫女集団です。次も、三上氏の言葉です。

「「ご存じのとおり、古代の天皇は、神降ろしの目的で周りに多数の巫女集団を養成していましたが、ご自身は現象界を見聞きすると同時に、裏側の潜象界を見聞きするという神感型を霊格を開発されていたんです。開発しようと修行なさっていたと言うのが、正確ですけど」(同p.119.)

このことについて、著者の宮崎貞行氏が解説されます。

「ある神霊の憑依による託宣は巫女集団に任せ、天皇自身はみずから霊格を磨いて、神意を知ろうとしていたというのである。神がかりによる託宣は、相当消耗するからこれは、専門集団である巫女群に任せるのがよい、天皇自身は、霊覚ないし直覚をみがき、直接神意を知る能力を磨こうとしていたというのである。」

「神霊の憑依」とは、見えない世界(潜象界)の「念子」を受け入れ、自分の中に「念子体」をつくることだと考えられます。そうして「お告げ」を受けるのは巫女たちの役割で、天皇ご自身は巫女からの情報をもとに、現実世界(現象界)における政治的判断を下すことになります。

神がかりは大変な作業で、「自分という意識」を失うほど身心を消耗することになります。それは巫女集団に任せ、天皇は巫女から神がかりによる情報(神意)を受け、それを正確に掴むよう、霊覚や直覚を磨いていたのでした。従って、天皇は“ご自身を失わない”状態で、神人合一のご統治に励まれていたというわけです。

その霊覚や直覚を働かせていた古代天皇の一人が、第十代の崇神天皇でした。
崇神天皇は、大和朝廷SS(ソーシャルシステム・社会秩序)を誕生させた天皇であると考えられます。(続く)