論説:「日本ファースト」は国民を守る上で、国家が当然採るべき在り方

【要約】
国家の三要素に照らせば、自国第一主義は当然の姿であり、その先に世界平和を描くべき。文明法則史学からも、世界は「第三次世界大戦」がいつ起きてもおかしくない状況にある!

【ここから本文】
中学生になれば「国家の三要素」を学ぶ。国家の三要素は、領域(国土等)と国民と主権だ。日本は今、これら三要素がじわじわと浸食され、国家の存立自体が危ぶまれている。

◆領域が危うい!
日本の領海や領空に侵入する他国の船舶や航空機があとを絶たず、外国人・外国資本によって日本の土地や森林、水資源(地下水)が狙われ続けている。

◆国民が危うい!
戦後80年に亘って、事実上“アメリカ占領下”に置かれてきたことによって、国民の誇りと自立心が損なわれてしまった。そこには、思想的な“汚染”がある。

明治以降、日本に入ってきた西欧思想の中に、国家を否定する世界主義や無政府主義、家庭を否定することにつながる個人主義などがある。

こうした外来思想によって、世界(人類)・国家・家庭・個人と分けたとき、世界と個人が優先され、国家と家庭が否定される方向へ誘導された。

世界と個人があれば、国家と家庭は不要という伝統破壊的考え方である。

我が国の政党や政治家にも、この影響が根深く及んでいる。

国家というものは領域と国民と主権を守るために存在しているはずなのに、国境は亡くすべき、国民ではなく市民と呼べばいいと思っている者が少なからず存在している。

◆従って主権も危うい!

そもそも自国民の安全と領土を最優先で守るために、国家には主権が備わっているのではあるまいか。

こういうときほど大局観がものをいう。文明評論家の村山節先生が研究・提唱された「文明法則史学」の見通しが、益々重要となってきた。その結論を述べておく。

・世界文明は、栄える時期が800年ほどずれることによって「東」と「西」に分かれる。

・東西文明は周期交代するが、今度の文明交代期は21世紀の今である(1975~2075)。

・文明交代期は、異常気象による食糧危機や、それに伴う民族大移動等が発生する。

・この文明交代期に「西」(欧米)は支配力を失い、「東」(東洋)に主役が交代する。

・文明交代期中に「最激変期」があり、それは2025年~2050年頃となる。

また、最激変期には世界が流動化し、緊張感と異常心理が高まることによって、誰も望んでいないはずの「第三次世界大戦」が起きてもおかしくない状況ともなる。

世界各地に、その“発火点”が存在している。それを示せば下記の通りとなる。

・長引くウクライナ戦争~ウクライナ方面は、ヨーロッパに向かう民族移動の震源地。
※参考「ヨーロッパ文明の終末に文明地帯をおそう民族運動は大抵ウクライナ、コーカサス方面を震源地としていた。」(1975村山節『文明の研究』六法出版社p.252.)

・中東におけるイスラエルとイランの対立~両国は、東西文明の対峙ともなっている。
※かつてのペルシャであるイランは、西アジアに属し、東西文明では「東」の一員。

・ヨーロッパ(NATO)対ロシア~NATO軍は、ロシア脅威への備えを固めつつある。極東にまたがるロシアは西洋諸国の中で異質の存在。
※軍拡競争が欧州景気を支えている。

そして日本の周辺では、中国による台湾・沖縄侵略、朝鮮半島有事の日本への飛び火、ロシアの南下による北海道占領などが危惧・憂慮されている。

今後の戦争は、宣戦布告の無い(ハッキリしない)ケースが増えるだろう。
戦争をビジネスと考える勢力が存在する以上、「日本ファースト」は国民を守る上で、国家が当然採るべき在り方と言わざるを得まい。
(政経倶楽部連合会 総研レポート第99号より)