敵を倒さなければ生き残れないという、覇道対立文明から王道共生文明へ!

世界が日に日に危うくなってきた。一歩間違えば、大戦争が起きかねない状況に陥っている。国内では新政権が誕生したとはいえ、政局は流動化を免れまい。
今この危機にあたって、変革期の志士や新文明創造の旗手に、是非とも知っておいて欲しい文明論がある。

それが、村山節先生(1911~2002)が体系化された「文明法則史学」である。
このマクロの歴史学は、完全帰納法による統計学的手法によって成立している。
下記がその結論だ。

・文明は東と西のグループに分かれ、800年毎に周期交代する(“主役”の交代)。

・21世紀(1975~2075)の今が今度の交代期で(※東西文明の交代は1938年頃に発見された)、最激変期は2025年頃から2050年頃となる(1990『文明の交代について』)。

・文明交代期には膨張帝国が出現し、それまで栄えた旧文明を終わらせていく。

今回の旧文明とは、十字軍の遠征やレコンキスタ運動あたりから活発化し、その後およそ800年間世界を制覇した欧米文明のことである。それを終わらせる力を持つ膨張帝国は、現在のところ第一に中国、第二にロシアと思われる。

人口14億の中国は、経済力と軍事力を急速に膨張させた。NATOと対峙するロシアは、核兵器の最大保有国として世界に脅威を与えている。

両国とも西欧とは異質の国であり、文明交代期に勢いを起こして旧文明に襲い掛かる可能性を持った大国である。この2国に北朝鮮とイランを加えた国々が、アメリカと敵対する強権国家群となっており、文明交代期の膨張勢力と目される。

さて、そのイラン問題である。アメリカとイスラエルは、イラン最高指導者のハメネイ師を殺害した。2月末の米軍によるイラン攻撃から一ヶ月以上経ったが、イランの体制が崩れる様子は見えない。イランはホルムズ海峡を封鎖し、石油を人質に取ることで生き残りを図っている。

当初はイランの核開発を止めることが攻撃の狙いとされていたが、途中で目標を体制転換に変えるなど、トランプ大統領の意志は定まらない。このままイランの体制を転換出来ないまま、ずるずると戦争が長引けば、アメリカの国力低下は加速するばかりとなるだろう。

イランの今後を読むには、目の前の動揺ばかりでなく、その文明や歴史、民族性などから見ていく必要がある。それについて、東京大学名誉教授の羽田正氏は2026年3月23日付「日経新聞」文化欄「イラン 歴史と社会を知る」(上)の中で、次のように述べている。

(ここから)「「現代のイラン人は、イラン人であることに高い誇りをもっている。誇りの源にあるのは「敗者」「少数者」という意識だ。「負けてまとまる」国民だといえる。

「古来、文明の民である我々は何度も外敵との戦いに負けたが、簡単には屈服しなかった」。紀元前4世紀(西暦)にはアケメネス朝ペルシャがアレクサンドロス大王に滅ぼされ、7世紀(同)にはササン朝がアラブ系ムスリムに征服された。
それでもアイデンティティーの核になるペルシャ語は守ってきた。そんな誇りのもち方をする。

(中略)「アメリカなんて、たかだか数百年の歴史しかない。それに比べて何千年もの歴史がある我々は何度負けてもよみがえってきた」」。(ここまで)

ペルシャ語を話すペルシャ人の国であるイランは、西アジアに属している。
ティグリス・ユーフラテス川流域に発生したメソポタミア文明は、シュメール文明、さらにペルシャ文明へと受け継がれて今に至っており、これらは他の「東の文明」と同じ時期に栄えている。

このイランを含め、中国、ロシア、北朝鮮という西欧とは異質の反米・反欧米勢力が、膨張もしくは暴発する形で旧文明を終わらせていくというシナリオが導かれてきた感がある。文明交代期は、異常心理が起こることで(本当は誰も望んでいなかった)大戦争が勃発する恐れのある時期である。

率直に問う。日本は、旧文明側(欧米)と膨張強権国家側(中露など)の、一体どちらに付くべきか。大多数の国民は欧米側と答えるだろう。前者は同盟関係にあり価値観も共有されているが、後者は信頼性に欠ける非民主的勢力なのだからと。

しかし、西欧には大航海時代以来、地球を制覇し、世界中を植民地化し、先住民族を虐げ、その資源と富を奪ってきた歴史がある。幕末では、西欧列強がアジアを侵略し、その食指を日本に向けて黒船襲来に至った。それを、強権膨張的ではなかったと説明出来るだろうか。

はっきり言おう。全ての国家が自国最優先というエゴの固まりであり、世界平和にとって真に信頼出来る国やその集まりなど、地球上のどこを探しても存在しない。

しかも欧米は、かつてのような世界指導力を失ってきているのだから、現状ではどちらに対しても一定の距離を置くべきではないかと思う。

無論、短期的には、アメリカに頼る以外に方法はない。が、世界に対する方針を持たないまま、ただ従属するだけの外交をいつまで続ければいいのだろうか。
方針の無いことくらい、中長期的に見て危険極まりない在り方はあるまい。このままでは、日本が持つ和文化共生への使命は、何ら果たせないまま終わることになるだろう。

孤立するのではなく、日和見で二股をかけるということでもない道がきっとある。それが、両者の行司役だ。世界をつなぐ行司役となって、全人類に「共生文明への道筋」を示すところに、言向け和(やわ)すことを政治の基本とする日本の使命があるはずだ。

人類史全てを研究対象とする文明法則史学は、必ず世界平和のための「共通の座標軸」となり得る。今に至るまで筆者は、これを人類和合のために天が用意した学問であると思ってきた。敵を倒さなければ生き残れないという覇道対立文明を、王道共生文明に転換させるのは、今をおいて他にはない。そこに、日本の国是を定めようではないか!

(政経倶楽部連合会 日本政経連合総研レポート第109号より 令和8年4月3日)