令和8年は、新しい哲学が「ものを言う」元年となるだろう!

本年は、新しい哲学が「ものを言う」元年となるだろう。哲学とは「どうあるべきか」を説明する「意味付け」のことである。今、あらゆる分野に哲学、すなわち新しい意味づけが求められている。

AIによって労働が変わり、そこでも哲学が必要となる。労働には、肉体労働と頭脳労働、さらに感情労働がある。感情労働には、会話が基本の接客や悩み事相談、福祉現場での介護などが含まれる。AIが肉体労働や頭脳労働を担う中、さらに簡単な感情労働をも代替していくようになるという。

しかし、AIに「思い遣り」といった感情は無く、やはり人間だからこそ担えることがあるはず。それが思い遣り、慈悲心、利他心といった人間が提供する(下位の)哲学で、これまで宗教心や倫理道徳心と見なされてきた精神だ。
それらの精神にAIを超えるものがあり、仕事の意味付けが重視されてきたことと相俟って、「哲学を専攻した人材が世界的に活躍の場を広げている」(令和7年12月8日付日経新聞)のだろう。AIによる変化に対して、既存の考え方や価値観では対処出来なくなってきているという現実があるのである。

大きくは、文明の転換に対応する「新しい哲学」が必要となる。欧米は、既に文明として消滅の危機に瀕している。欧州はキリスト教文化とイスラム教文化が混在する地域となっていくし、米国は非白人が多数派となって価値観が変容していくに違いない。

そのため、ますます村山節先生の「文明法則史学」が、世界の大局を見据えるためのモノサシとして意味を持つことになるだろう。統計学的に歴史のデータを処理することで、世界は東と西の文明グループに分かれ、それらが800年毎に周期交代しているという事実が明らかにされている。今度の交代期は21世紀の今であり、その最激変期が2025年~2050年であるということが予測されて久しい。令和8年は突入の2年目であり、世界の動揺が大きくなり、日本の混迷は深くなっている。問題は、文明交代期に膨張帝国が現れて世界の脅威となり、旧文明を終わらせてしまうところにある。それによる大混乱を抑えるには、陰陽和合を説く東洋哲学に学んで、東西融合の共生文明を興さねばならない。

対中外交にも、東洋哲学が教える王道政治を生かしたい。中国は面子と記録を重んずる国で、名声(の記録)を欲し汚名(の記録)を嫌う。それを象徴するのが「起居注(ききょちゅう)」という、歴代王朝の皇帝の発言と行動を記録する官職、またはその文書だ。皇帝は自身の記録を見てはならず、起居注は皇帝を身勝手な独裁者にさせないための「しばり」となっていた。皇帝は暴言と暴行を避けることで、名誉を残そうと努力したのである。

この、面子を貴ぶ哲学を中国外交に生かしたらいい。たとえば『老子』の「江海(大きな川や海)のよく百谷(沢山の谷川)の王たるゆえんは、その善くこれに下る(下に位置する)にある」や、『墨子』の「大国は小国を攻めず、大家(お金持ち)は小家から奪わず」といった哲学があり、その在り方が面子を保つ基本となる。こういう哲学を元に、徳による王道政治を中国の指導者に求めるのである。大国の指導者らしい徳治王道の政治によって、歴史に残る名誉を得るべきであり、それによって面子を保っていただきたいと。

医学や医療の分野にも新しい哲学が起きている。心と体は一つ、天地自然と人間は一体、部分ではなく全体を観る、治る力は自分の中にある、といった東洋医学の基本理念が注目されている。手当てや言葉、呼吸も重要だ。それを昨年から「綜医學講座」で述べている。