人間には食い気、色気などの他に、「群れ気」とでも言うべき群れる性質があります。聖徳太子は、そのことを「人皆党(ひとみなたむら)有り」(憲法十七条)と述べ、人は誰でも党派を作りたがるものであり、だからこそ和を貴ぶことが大切であると諭しました。
和するための基本は、何といっても信頼関係にあります。それを構築する上で、松下幸之助塾長(松下政経塾)は、まず人間というものを大きく見ることが大切であると教えています。要するに、人間観も、部分観ではなく大局観や全体観であれというわけです。
「人間というものは、大きく見ればすばらしいもので、信頼すれば、必ずそれにこたえてくれるものだということです。」
(2001松下幸之助『人生心得帖』PHP文庫p.45.)
長所は短所でもあり、互いの短所ばかり見ていたら相手はどんどん小さくなります。その結果、和は損なわれ、協力関係の構築は不可能となっていきます。
まず相手を尊敬し、大きく見る必要があります。相手の出方を待つのではなく、こちらから踏み込んで相手を信頼するのが修養です。でないと、関係性は前に進みません。下記も松下塾長の教えです。
「大切なのは、やはりまず信頼するということ。信頼することによってだまされるとか、それで損をするということも、ときにはあるかもしれません。かりにそういうことがあったとしても、信頼してだまされるのならば自分としてはそれでも本望だ、というくらいに徹底できれば、案外人はだまさないものだと思います。自分を信じてくれる人をだますということは、人間の良心がそうは許さないのでしょう。」(2001松下幸之助『人生心得帖』PHP文庫pp.50-51.)
双方が対立している場合、一方の主張がよほど間違っていない限り、どちらにも言い分(正しさ)があるものです。但し、それは部分にとっての正しさである場合が多いと思われます。ではどうするか。対立を超えて信頼関係をつくるための心得を述べておきます。
・まず、相手の意見をよく聞く。
人の声は勿論のこと、天の声をも聞ける人のことを聖人と言います。聖人の「聖」は「耳」+「呈」で、耳はよく聞くこと、呈はテイ→セイという読みを表しています。聖人の意識を持てば、聞き取りはきっと上手くいくはずです。
・普段から苦手な人に声を掛ける。
声を掛けるほど、好きになるから不思議なものです。
・双方を包んでしまうほどの、大きな目的や目標を持つ。
※『孫子』には、その例えとして、仇敵同士の呉人と越人であっても、同じ船の中で暴風雨に出遭えば、舟を沈めないために協力し合うということを挙げています。有名な「呉越同舟」の話です。
・「愚痴笑い飛ばしお祓い法」をやる。
綜医学講座で、最近やり始めた実習です。「一方的な事ばかり言ってんじゃねえよ!ワッハッハッハッハ~」などと笑い飛ばして祓います!
・完全な人はいないということを前提とする。
誰もが不完全なのだからこそ、信じ合えるよう努力しましょう。
信じるの「信」は「人の言葉」。言向け和(やわ)すのです。
・双方とも、攻撃的な言い方をしない。
ウソはダメ。誇張も良くない。切り取った一部を盛っての強弁は見苦しい。
不足部分を冷たく叩かない。報告・連絡・相談をしっかり!